HQ×黒子夢小説

□第10試合 おにぎりちゃんとテスト勉強
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GWも明け、合宿の手伝いも終了した今。
これで、通常の学校生活を送れる。

合宿から帰ってきたら、うちにお邪魔しますをしていた千鶴から思いっきり抱きしめられた。




「大丈夫だった!?もう、手癖の悪い狼の群れに入るなんて無謀なこと止めて!今度行くときは私もついて行くからね!いや、本当は二度と行ってほしくないんだけどね!もしもの時は私を呼んで!すぐ駆けつけるから!!」






息継ぎすることなく言われた時は、彼女の肺活量はどうなってるんだろうと思った。

まあでも、本当について来ようとしたときは止めよう。相手はバレー部で、空手部の千鶴がいたら迷惑だ。







さて、今月は中間テスト。
部活はしばらく活動休止になるけど、問題は千鶴だ。
彼女が先生に呼ばれている間に、毎回恒例の千鶴用テスト対策ノートを作る。

すると、視界の端に何かが入り、動かしていた手を止めて顔を向けると…




「………。」



『…………。』



一度離した目を戻す。
…やっぱり幻覚じゃない。木兎先輩がいる。

何故か木兎先輩が私の机に肘をついてノートを覗き込んでいた。







『………何でしょう、木兎先輩』


「おにぎりちゃん、何してんの?」


『……テスト勉強です』


「………べんきょーしてるんだ」


『復習ですがテストが近いので』


「そうか…」


『………。』


「………。」






たったそれだけの会話をしたら、木兎先輩は変わらずじっと私の手元にある(千鶴のテスト対策)ノートを見る。

特に気にすることないから作業を続けさせてもらおう。






『………。』


「………。」


『………。』


「………。」


『…………。』




何故か木兎先輩は微動だにせずにノートを見つめる。




「……おにぎりちゃんのノート…」


『はい。』


「すっげー見やすい!!俺でも分かる!」


『…そうですか』






正直、2年生の木兎先輩が1年の授業内容が分からないというのは少々問題があるけど…気にしないでおこう。



それにしても…彼はどうしてここにいるのだろうか…?

今日からバレー部は勉強会があるって昼休み赤葦君と会話しているのを聞いた。


ここにいていいのかな?







『…木兎先輩は勉強しなくていいんですか?』


「っ!!」





木兎先輩は大げさなくらい肩をビクッとさせると、気まずそうに目を泳がせた。

聞くところ、厳しいテスト勉強に耐え切れず逃げ出したそう。
そして、逃げている途中で教室に残っている私を見つけ出し、ここにいると話す。







『こんなところにいても仕方ありません。早く先輩たちのもとへ戻られた方が賢明ですよ』


「けんめー?けんめーってなに?」


『賢く、適切な判断という意味です。主将さんたちに怒られたくなければ、早く戻った方がいいですよ、ということです』



「…だって…べんきょー嫌い。分かんねーし、バレーできないし…」





ああ…これは見たことある。先輩たちが言う“しょぼくれモード”だ。






『確かに2年の授業は難しいものでしょうが、それを理解しようとするのが勉強というモノでしょう』



「………。」



『…それにテストで赤点取ったら補習でもっとバレーが出来なくなりますよ』



「それは嫌だ!」







バレーの話になった途端、大声で否定する。






「でも勉強分かんないし…」





と思ったら勉強のことになった途端この下がりよう。上がり下がりが激しいな。






『先輩たちに教えていただいたら?』



「……分かんなかったら怖いもん…」



『………。』












さて、どうしたものか。
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