うた☆プリ
□第三曲
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『あ、そうだわ。真斗君』
寮生が皆、一緒に朝食をとっている時。
思い出しかのような声を出すさくらに一同の視線が集まる。
彼女の目的は和が似合う青の男だった。
「はい?」
『私と…お付き合いくださいな』
・・・・・。
えええぇぇぇぇーーー!!!
寮内に一同の声が響きわたった。
ある者は声を上げ、
ある者は口に含んでいたものを吹き出し、
ある者は箸から食材が落ちても気づかず硬直したまま。
それを言われた者は…
「マサ!しっかりして!」
音也に体を揺さぶられていても顔を赤らめたまま硬直していた。
『?どうされましたか、皆さん?』
「「「「それはこっちのセリフだ/だよ!!」」」」
こてん、と首を傾げるマネージャーに、QUARTET★NIGHTの全員の声がそろった。
「突然何を言い出すかと思ったら…ッ」
「アイドルは恋愛禁止だよ。忘れたの?」
「俺の前で堂々と告白をするとは…」
「あーちゃん、ダメだよ!そんなことおにーさんが許しません!」
次々に異議を申す先輩たちと、未だに状況がつかめず硬直する真斗を含むST☆RISHと作曲家春歌。
ただ一人反応を見せるのは…
「いいですネ、デート!ハルカ、ワタシたちもデートしましょう!」
「ええ!?」
先日から春歌への愛をオープンに披露するアグナパレスの王子だった。
「ワタシ、まだ日本のこと知りません。ハルカ、これからデートで一緒に見に行きましょう!」
「え、えっと…あの…」
「「「「「「させるか!!!」」」」」」
もちろん、それを反対するのも彼らST☆RISHの仕事。真斗の硬直もすっかり溶けたみたいだ。
「騒がしいぞ、愚民ども!!」
そうセシルとわちゃわちゃしているのを、カミュの一言がばっさり。
「して、天音。どういうつもりだ」
『はい?』
「だから、恋愛禁止のマサトに交際の申し込むのは、どういうつもりなの?」
そう。彼らはとにかくこの騒ぎを起こした張本人に真意を確かめたいのだ。
だが、その張本人は…
『交際?』
はて?と言わんばかりに小首をこてんっと傾げた。
その姿も愛らしく……いやいや今はそんなことは問題ではない。
「今、てめぇが“付き合え”って言ったんだろ」
「……ひじりんのことが好きなの?」
いつになく真面目な声で言う嶺二の声にしんっとなる食卓。
皆彼女の答えがどうなのか今か今かと待ち構える。
『真斗君のこと、好きですよ』
「っ!?」
「「「「「おおお!!」」」」」
「//////」オロオロオロオロッ…
「ちょっと―…」
「おまっ…―」
「貴様この俺の前で堂々と…」
「………―っ」
それぞれの反応を見せる中…
『もちろん、皆さんのことも好きですよ』
「「「「「はい?」」」」」
「「「「え/は?」」」」
一気に反応が一致した。
息ぴったりですね。
「じゃ、じゃあ…付き合うとは…」
『?社長から真斗君を事務所へつれてくるようにと今朝ご連絡がありましたので、この後一緒に事務所へお付き合いください、と』
ついでに晩御飯の材料を買うのでスーパーも一緒に行きましょう。
ほわほわ、と事情を話すさくら。
それに対し、彼女をマネージャーとする彼らは…
「「「「紛らわしい言い方をするな!!!!」」」」
と、声をそろえて抗議した。
アイドルたちを振り回す寮母の平和な朝の出来事だった。