未来へ
□第一話
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ある日の通学路…
「おい、オマエ。きのうこづかい入ったんだろ」
「だろー?」
「で…でもボクこれで虫チャンプを…」
一人の少年が囲まれていた。
通りかかる人も皆、巻き込まれないよう避けてゆく。
「いいからさっさと…」
「ちょっと、通れないんだけど」
そこに一人の少女が現れた。
〜第一話 こころのたまご〜
「はぁ?なんだこの女…」
「ちょっちょっと待て、コイツもしかして…聖小の日奈森あむ!?」
相方の言葉を聞き、慌てだす青年たち。
一人で桜小のサッカー部を潰した、とか、関東の小学校は全部顔パスで全校長が逆らえない…など数々のウワサとなっている…みたいで。
「わが聖夜学園小きってのスパイシー小学生、あの日奈森あむさんですか!?」
絡まれていた少年もずいっと身を乗り出す。
「………だったらナニ。てゆーかそんなウワサどこから…」
「すっすっすみませんでしたー!!」
「もうしませんからー!」
そう叫びながら走り出す彼ら。まさに脱兎の如く。
ひょっこりとあむの後ろから現れた黒髪の少女が顔を出し、それを見た少年はさらに騒ぎ出す。
「あ、あなたは!ミステリアス小学生
日奈森あいさん!
感激です!朝から日奈森先輩姉妹に会えるなんて!
あのっありがとうございました。よかったらサインを…!」
「…バカじゃん?通行のジャマなのはアンタもいっしょ…つぎから気を付けなよ」
それだけを言って妹と共に去っていった。
振り向き様にはっきり言われた言葉は…
「「か…かあっこいいーー!!」」
通行人のおばあちゃんのハートまで射抜いてしまったのだ。