未来へ
□五.五話
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これは、イクトがあいへお菓子をあげたときのお話。
ズレたベンショーを渡されたあむとあい。
中身を見たあいとしゅごキャラたちには一つ、疑問に思った。
〈それにしても…〉
〈うん…〉
「?どうしたの?」
『あの…』
『〈〈〈〈〈“ふがし”ってなんでしょう/なあに/なにかしら?〉〉〉〉〉』
・・・・・。
「は?/え?」
誰もが思ってもみなかった問いにあむもイクトも、そして彼らのしゅごキャラたちも目が点となった。
〈なんだ?おまえら、ふがしを知らにゃいのか?〉
〈うん。〉
〈だって食べたことないもの〉
〈あいちゃんは?〉
『ない。だから聞いてるの』
〈……お前の妹、どうなっているニャ?〉
「あ、あたしに聞かないでよ。確かに、うちでは出ないお菓子だけど…」
考えてみれば、あいは洋菓子を食べることが多い。
が、まさかふがしを知らなかったのはあむも知らなかった。
〈お麩でできたお菓子なんですよぉ〉
〈お麩!?〉
『お麩って…お吸い物にいれる…あのお麩?』
〈お麩が…お菓子に…〉
『〈〈〈〈〈………。〉〉〉〉〉』
想像がつかないものにじーっと見つめるあいたち。
〈ま、一コ食べてみればいいニャ!〉
『………。』
ヨルに言われて、袋から一つ取り出し…
恐る恐る、ふがしを一口食べてみた。
『………。』パクッ
もぐもぐ…
〈〈〈〈〈………。〉〉〉〉〉
ごくんっ…
・・・・・。
あむたちが見守るなか、一口食べたあいは…
『………。』パクッ
もう一口。
『………。』パクッ
さらに、もう一口、ふがしを口に含んだ。
『………。』
「…どうしたの、あい?」
〈あいちゃん?〉
そして、袋を抱きしめて…
『!!』ダッ
「「!?」」
〈〈〈〈〈あ!!〉〉〉〉〉
部屋の中へ持って行ってしまった。
それに続くリズたち。
〈ずるいよ!あいちゃん!〉
〈美味しかったんでしょ!美味しかったんでしょ!?〉
〈一人で食べようと思っていますね!〉
〈一コちょうだい〜!〉
〈女王である私の許可なしに許しませんわ!〉
「「………;」」
〈〈〈〈………;〉〉〉〉
バタバタと聞こえるあいの部屋。
その後、“おいしい〜”と好評の言葉が飛び回っていた。
〈気に入ったみたいですねぇ〉
〈表情変わらなすぎ…〉
「あたしも全然分からなかった…」
その翌日から、ときどきあいたちのお茶会にお茶菓子としてふがしが追加された。
こうして、あいの好物が一つ増えたのであった。