未来へ
□第六話
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「な…なんで走りこみっ…あたしなにやらされんの!?」
「ジョーカーの任務…×たま狩り!」
「バツ…たま…?」
『………。』
「そう!だれでも心の中に持ってるたまご。おとなになるまでかえらない――
でも、ごくたまに、かえってしまうパターンが二つあるんだ。
しゅごたまからしゅごキャラが生まれる場合と…」
『…×たまから×キャラが生まれる場合…ですね』
「え?」
空海の説明に加わったのはあい。
あむはなぜそんなことを知っているのか、困惑し、妹に視線をうつす。
「へー…妹の方は勉強済みみたいだな」
「×キャラって…?」
『たまごの持ち主が心にトラブルを抱えてると、たまごは×キャラを産む、×たまに変化します』
あいはあむに説明をしながら、かつてのことを思い出す。
真っ黒になったたまごと真っ黒なキャラ…持ち主の心の叫び…
助けられなかった自分の無力さを…
「さらに×キャラが暴走したら、持ち主がたいへんなコトになってしまう。
ジョーカーの仕事は×たまを見つけて封印するか、×キャラが生まれてたらつかまえるか。
サイアクの場合、たまごをこわしてしまうか…」
『………。』
「………なんかそれ気に入んない」
『?』
「こころのたまごに〇も×もあるのかな」
『!!』
「(…へぇ…)」
予想していなかった言葉に意表をつかれた空海。
だが、後ろで走っていたあいは、そんなあむに憧れを抱いていた。
『(やっぱり…強いな…)』
幼い頃からずっと思っていた。強くて、優しくて…憧れの…“ ”。
あいにとって彼女は“誇り”なのだ。
「まーそうキンチョーすんな。×たまなんてそういるモンじゃないから」
「そ…そうなの?」
『では、なぜ私たちは走っているのですか?』
「これかー?これはなー気合いを入れるためー」
「はあー!?」
『(体力の無駄…)』
「×たまがいつあらわれてもいいように……」
無駄と分かった走り込みを続ける3人。
しかし、そんな彼らの前に黒い影が現れた。
てんっ
てんっ
・・・・・。
((いたーっ))
黒いたまご、×たまである。
「うそっいきなり…あれが×たま!?」
「とにかく捕まえんぞ!スピードあげろ!
ダイチ、キャラチェンジ!いくぞ!」
〈おう!〉
〈あむちゃん、あたしたちも!〉
「……うんっ」
『……チェーニャ。お願い』
〈りょうか〜い〉
×たまの捕獲にかかる3人。
その時、あむのこころの奥から何か沸き起こる。
「(なりたい自分に×なんかつけさせない!!)」
あむの強い思いに反応したようにハンプティ・ロックが輝いた。
『!!』
「日奈森!ま…まさか!」
強く、温かい光…――。
「キャラなり!」
その光から出てきたあむは、先ほどとは違う、新たな恰好をしていた。
to be continued…