未来へ

□第九話
1ページ/6ページ




「海だーー♡」



青い空、白い雲
そして、広大な海。


目の前に広がる光景にあむたちは興奮がおさまらない。


そう、彼らガーディアンは“強化合宿”と称して、バカンスに来ていた。








〜第九話 強化合宿(?)〜









ことの発端は、最年長である空海からのお誘いだった。





数日前。


『強化合宿…ですか?』



クラスの仕事により、少し遅れてロイヤルガーデンに来たあい。
先に来ていた姉やその他のガーディアンたちは話に花を咲かせていた。




「そ!“合宿”ってなんか、部活って感じだよね!」


「最近暑いから、海とかいいわね」


「ビーチリゾートとか憧れるー!」


「行ってみたいな〜」


「「「ねー!」」」


『それで…どうして急に強化合宿を?』





突然の合宿の話に真意が分からず、男子組に経緯を聞く。

もしかしたら、イースターのことと何か関係があるのだろうか、と。



が、その答えはあいの予想からかけ離れていた。




「親睦会だ」


『はい?』


「日奈森さんたちがガーディアンに入ってまだ日は浅いからちょっと遠出して、みんなで親睦を深めようってことになったんだ」


「名付けて、“親睦を深めてパワーアップ合宿”だ!」


「いざというとき、連携プレーができるようにね」




ネーミングがそのままであること、それは強化合宿と言うより遊びに行くというものではないか…と、突っ込みたいことは山々だが、胸に仕舞うだけにした。



で、その強化合宿(遊び)の行き先は、あむたちのビーチリゾートに行きたいという願望から…





「よし!じゃあ、オレが連れてってやる!」





と言う空海のお誘いにより、決まった。













「青い海、キラキラの砂浜♥さわやかな潮風…」



「ふりかえればもうそこは…









墓だーーー!!」





「ギャー!!」







目の前にあるのは海と不似合いな墓地。

期待を膨らませていたあむたちの想像に亀裂がはいった。






「海にバカンスのはずがナゼお墓に!?」



「いーやーっうそーっ」



「おーっついたな、オレらの宿泊先」


『あの…もしかして、あのお寺が…?』



「そ!」







墓地の先に突飛出て見える寺。
どうやら、あの寺が空海のおじいさんの家だそう。





「空海!話がちがッ!」



「どこがだよーだっておまえら、ビーチリゾートにいきたーいっていってたじゃん」


「コレビーチリゾートちがーう!」



「なにぃ〜〜人がせっかく“夏の特選ツアー★全室オーシャンビュー、オレのじいちゃんち”に招待したとゆーのに」



「そうそう」



『“親睦を深めてパワーアップ合宿”じゃなかったんですか?』


「細かいこと気にすんな、日奈森妹!」







ネーミングの問題は置いておいて…
空海があむたちに言ったことはあながち間違っていない。
ただ、おじいさんの家がお寺だと言うことを話していないだけ。

日本語って難しいな、と思うあいであった。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ