未来へ

□第十二話
1ページ/3ページ




「あの日」から失った力…



何が原因か分からず、自分の無力さしか残らなかった。


でも…今なら…






〜第十二話 蘇ったキャラなり“アリス"〜








あいの懐から放たれる光。
薄暗いこの広場に一際輝くそれは、思わず吸い込まれそうになる不思議なもの…





「え…?」


「!!」





キイィンと甲高い音が聞こえたと思ったら、あむの胸元にあるハンプティ・ロックが輝き始めた。
錠の変化に気付いたイクトがバイオリンケースを見ると、同じく輝くダンプティ・キー…





「なに…?」


「…ハンプティ・ロックとダンプティ・キーが反応してる…?」





一体何が起きているのか…
心当たりのあるあいは、懐に手を入れて、光の正体を取り出す。




ハンプティ・ロックやダンプティ・キーとよく似たデザインをされた“時計”…
それがこの現象の原因だ。

初めてみたその“時計”にあむとイクトが見つめるなか、あいは迷いもあったが、すぐに決心がついた。

“時計”に着いたチェーンを首にかける。





『リズ!!』


「うん!」












わたしのココロ、解除(アン・ロック)!!





















眩い光に包まれたあと、再び現れた姿が変わったあい。






『〈キャラなり!アリス・シークレット!!〉』





鮮やかな水色に白いエプロン…頭に黒いリボン。
腰に本を括りつけた不思議な国のアリスとよく似た姿で現れた。






「あいのキャラなり…」


〈ようやく、またできるようになりましたね…〉


〈まったく…手のかかる子ですこと…〉


「また?あいはキャラなりするの初めてじゃないの?」


〈随分前にキャラなりはできたけど…色々あって…〉


〈まあ、いいじゃないか〜キャラなりできたし〜〉







チクッ、タクッ、チクッ、タクッ…


〈?〉









『キャラなり…』


〈やったね、あいちゃん!キャラなり、できたよ!〉


『……うん』






最後にキャラなりをしたのはいつだったか…
それからずっとしようと思っていても出来ず…そのたびに焦燥感を抱いていた。

ようやく、再びできたキャラなりにあいはほんの少し、口角が上がった。
次へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ