未来へ
□第十六話
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二階堂との一件が片付き、家に帰ったあいとあむ。
夕食の支度の間、あいは部屋で“時計”を眺めていた。
〜第十六話 導きのキャラなり“チェシャ猫”〜
チック、タック…とゆっくり秒針が時間を刻むが、変わった様子はない。
机に立てかけていた本を手にとれば、すでに見慣れたアンティーク調。
『やっぱり変わってない…』
コールとキャラなりしたときの本は一体なんだったのか…
あの時は無我夢中だったから、何故変わったのか、何故×たまを浄化できたのか分からない。
それに、自分と「同じ」だと言っていた「リヒト」と名乗る少年。
イクトの様子からイースター関係の人物だと推測するが、彼の願いとは…
『………分からないことばかりだわ』
〈あの“リヒト”っていう子、てき…なんだよね?〉
〈あきらかにそうですね…〉
〈ふしぎな本にふしぎな子…考えることがふえてしまったね…〉
〈どちらにせよ、このままではいられないですわ…なにかさくを考えないと…〉
「う――ん…」と一同が悩むなか、この場にふさわしくないのびる口調が入った。
〈迷っているみたいだね〜〉
チェーニャだ。
まるでベッドで寛ぐように横になりながらすいーっと浮かぶチェシャ猫に思わず目が点になる。
〈ちょっとチェーニャ!みんな考えてるのに…〉
〈ニシシ…チェシャ猫は迷っている子をみるのがだーいすき〜〉
『………。』
〈今答えださなくてもいいんじゃない〜?またわかんないこと出てきたらまた考えないといけないじゃないか?
だったら、分かんないなら、とりあえず分かるときがくるまでのんびり待てばいーさ〜〉
〈待つって…どれくらい?〉
〈さぁーね〜そんなすぐにでるものじゃないでしょ〜〉
〈チェーニャらしい答えですね〉
〈ボクはのんびり生きるものだからね〜〉
『でも…』
なにも策を練らないままいたら、いざ必要なとき手遅れになってしまうんじゃ…
そんな心配があいを不安にさせる。
だが、チェーニャは少しため息を吐いて、あいの目の前にやってきた。
〈あい、いろいろ考えすぎなのさ〜ためこむと爆発するぞ〜?〉
『慎重深いって言って…ただでさえ問題点が多いんだから、少しでも解決していかないともしもの時に…――』
〈だから〜それが考えすぎだって〜
あの“リヒト”ってヤツも別に今すぐ動くわけじゃないじゃん〜〉
『………。』
あまり納得していない様子のあいだったが、下から夕食を知らせる声に一時話は中断された。