未来へ

□第十七話
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暖かい春の朝…





「ぎゃぁああ〜っ」





日奈森家に悲鳴が響き渡った。










〜第十七話 新しい始まり、新しい出会い〜












〈なになに!?〉


〈どしたの!?どしたの!!〉


〈まったく騒がしいですわ…〉


〈新しい目覚ましですね〉


〈Zzz…〉


『なに…今の声…?』




当然、その声に飛び起きるリズたち(一匹を除く)とあい。



〈なにかあったのかな?〉


〈様子、見てくる?〉


〈寝ぼけていたのでは?大丈夫でしょう〉


〈Zzz…〉


〈よく今の声でも眠れますわね…〉


『(準備しよう…)』




何やら隣の部屋が騒がしいが、ちょうどいい時間だとのんびり学校へ行く支度をする。
なんたって今日は…








「卒業おめでとう!!」


「おう」




今日は聖夜学園小の卒業式。
ガーディアンの最年長である空海も例外なく、胸元の花と卒業証書を持って堂々と
立つ。





「やだ――ぁ!空海、留年しろー!」


「むちょゆーなよ」


「相馬くんは最年長だったからね。さみしくなるよ…
こまったとき、不安なときはこの写真に話しかけていいかい?」


「フツーに電話してこいよ」






どこから取り出したのか、空海のピース写真を持って真面目に言う唯世に突っ込みを入れる。
いつ撮った写真だろうか。




「空海、卒業かあ――」


「あっというまだったわね」


「おらおら、しんみりすんなっ
あいたきゃいつでもあえるだろーが」


『中等部、お隣ですからね』


「日奈森妹はもうちょっと寂しがれ!」


「そーだよね…卒業っていったって、中等部にあがるだけだもん。いつだってあえるよね。
ね?なでしこ」


「ええ…」


『?』




あむの話をふられたなでしこはなんだか複雑な顔をしていたのを、隣であいが不思議そうに見ていた。






「じゃーな。がんばれよ、最上級生!」


「わわっちょ!」




くしゃ、くしゃとあむの頭を撫でる空海はいつも通り太陽みたいに笑う人だった。


春…
空海の卒業にみんなの進級。
そして、わが家でも…






「すもも組、ひなもり あみちゃん!」


「や――っ」


「“やー”じゃなくて“はい”でしょ、あみちゃん」


「やいっ!」


「ハラショー!!」


『………。』


「なにしてんのコレ…」





食事用の椅子に立ち元気よく返事をする妹と指導する母。
それをしたから写真を撮る父。
あむがツッコミたくのも分からないでもない光景だ。





「モチロン、あみちゃんの入園式リハよ!」


「やいやいっ」


「本本でキンチョーしないようにねっ
そしてパパはこの命にかえても手ブレなしの思い出を!!」





きゃっきゃっと楽しそうにする母に仕事に使う立派な一眼レフカメラをズームしながらあむに見せる父。





「…あたしのときもこうだったな…」


『(そーいえば…入園式のアルバム写真、結構あったな…)』





ちらっとあむとつとむの様子を見ながら、前見たアルバムを思い出す。






〈春っていろいろありますね〉


〈そつぎょう、しんきゅう、にゅうえん…はわわ…大変だね…〉


〈べつにわたくしたちにはかんけいないですわ〉


〈でも春っていーね!お花もたくさんさいて…〉


〈あったかくなって〜〉


〈〈〈〈〈たのしいことがたくさんありそう/ですわ(ね)/だね〜!〉〉〉〉〉


『…そうだね』





新しい始まりにわくわくするしゅごキャラたちを淹れた紅茶を飲みながら眺める。
そんなあいもなんだかんだで楽しみなのだ。
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