悪魔執事と黒い猫 夢小説

□第9夜
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男たちによって路地裏の倉庫に放り込まれた月華たち。




「あんたら…何のつもりでこんなことを…」



拘束がなくなったことで身動きは取れるようになったため、すぐにアモンが守るように月華の前へ立った。




「もし主様に何かしたらどうなるか分かってんだろうな?」


『待って、アモン…あまり刺激しない方が…』


「大丈夫っすよ、主様…とにかく、オレの後ろに隠れていてください。オレが守りますから」





安心させるための優しい声…しかし、月華が恐れているのは目の前の彼らの存在ではない。今も男たちと月華の間に立つアモンの身の危険を心配しているのだ。





「えらく威勢のいいガキだな…」


「あんたらの目的は何すか?何のためにこんなことを…」


「俺たちは全員、天使によって家族を失ったんだ」


「お前たち執事がしっかりしていれば俺たちは家族を失うことはなかったんだよ!」


「やっぱりそういうことっすか…」




察しがついていたみたいでアモンはそう呟いた。




「家族を失ったのは残念っすけど…オレたちだって万能じゃないんす。全ての天使を完璧に狩るなんて不可能っす…」


「うるせぇ!言い訳すんな!」


「お前たちがもっと必死に天使を討伐していればよかったんだ!」




怒りをぶつけるように…彼らはアモンの体に足を強く押し当てた。


「ア、アモンさん!」


『アモン…』


「さ、下がっていてください…主様。あ…危ないっす…」


「ア、アモンさん…これ以上は本当に危険ですよ…」


「おら!くらえ!」




天使がどのくらいの強さでどのくらいの数が現れたのかは、この世界に来たばかりの月華はまだ把握していない。
だが、再びこの世界に来た日。ボスキが大怪我したことを思い出すと…天使の脅威は少なくとも理解できる。
そんな天使を倒すために存在する魔導服だって、主の呪文がなければ機能しない。

ロノは初めて月華を見たとき、「やっと来てくれた」と言っていた。
つまり…月華が来るまで魔導服が使えない状態で戦っていた時もあったということだ。そんな中、人類がこうして生き残っているのは…奇跡か、はたまた運が良かったのか…

少なくとも、武装しない状態で戦った彼らの功績は十分に見られる。それなのに…



(この仕打ちなんて…)



次々とアモンへの攻撃を続け…アモンは苦しそうに膝をついた。そんな彼の前へ月華は一歩踏み出した。







『みっともないですよ、あなたたち』








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