HQ×黒子夢小説
□第9試合 おにぎりちゃんとGW合宿 3日目
2ページ/3ページ
漸く先輩たちによって木兎先輩から解放され、今日の練習試合相手の選手たちの分までドリンクを作るためスクイズを洗う。
「「「お願いシャアッス!」」」
どうやら今日の相手校選手が来たみたい。
本来、選手以外の部員やマネージャーも整列するが、私はお手伝いで来ている期間限定なので見逃してくれた。
試合開始から数分後。
そろそろドリンクが必要だろうと思い、入り口近くにいた白福先輩と雀田先輩に声をかけた。
因みに、3年のマネージャー、帯比奈(オビヒナ)先輩はスコアを記録している。
『ドリンクが出来ましたので、選手たちへお願いします』
「うそ、もう作っちゃったの!?手伝おうと思ってきたのに…」
「流石仕事早いね〜ありがとう〜」
出来たばかりのスクイズを先輩に渡すと、「冷たッ!」と受け取った。
出来たばかりの上に、今回は少し多めに氷を入れて作ったから、キンキンに冷えている。
今日も暑い上に動いているからちょうどいいだろう。
少し試合の様子を見ようとコートを見た時、先輩たちは「あぁ…」と苦笑を零した。
「………。」
「「「………。」」」
いつも元気な木兎先輩が何だか静かだ。
「出たね、“木兎しょぼくれモード”」
『“しょぼくれモード”?』
「まあ、所謂不調だよ〜」
木兎先輩にも不調はあるみたい。
まあ、いつでも絶好調の人なんているはずないか。
「ま、そのうち立ち直るでしょう」
「そうそう〜上がるのも早いからね〜」
初めて見る部員たちは戸惑っているけど、先輩たちは特に焦っている様子はなく、慣れているみたいだ。
それはマネージャー達だけでなく、先輩選手や監督たちも。
その後、試合は梟谷の勝利となり、先輩たちの言う通り木兎先輩もすっかり復活していた。
初めて見た時から思っていたが、木兎先輩のバレーは、とても自由に見える。
何かに遠慮する必要もなく、ただただ楽しむバレー
『“自由”か…』
無意識に出たこの呟きは誰の耳に届くことなく、静かに空気へ溶けていった。