Bullet of the promise
□第四話
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翌日。
日が暮れる時間、小五郎と園子は招待状通りにハロウィンパーティーに行き、博士の家では静かに灰原が寝ていた。
部屋は暖房と加湿器で風邪に適した環境を作っていた。
「しかし、大丈夫かの〜?哀君をあのままほっておいて…」
「あぁ。部屋も暖かくしておいたし、食料も水も置いておいたから心配ねぇだろ」
遠くから二人の会話が聞こえ、灰原は静かに目を覚ました。
「それより早く、博士が作った新しいゲームやらせてくれよ」
「おお!やってくれるか?」
遠くの会話を聞きながらソファーから起き、部屋を見回す。
すると机の上にあるお盆の上には食料のサンドイッチやおにぎりとお茶や水、コップが置いてあり、それを見て、有り難さに笑みを浮かべた。
一・二度咳をした後自分の机の引き出しを開け、中の様子を見た。
「(引き出しのものの配置が微妙に動いている。
探したのね…たった一人で“彼ら”と対決するために)」
引き出しをしまい、悲しそうにうつむきながら、灰原はそう思った。
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日が沈み、灰原はリビングでマスクをはめながらファッション雑誌を読んでいた。
博士とコナンの会話は聞こえるが当の本人たちはいない。
そんな中、一本の電話の音がリビングに響いた。
灰原は読んでいた雑誌を座っていたソファーに置き、子機で電話を取った。
「はい、阿笠ですけど」
≪夜分にすみません。新出です≫
電話の相手は蘭が通う帝丹高校やコナンが通う帝丹小学校の校医をしている新出だった。
≪あの、博士は?≫
「いないわよ。江戸川君とどこかに出かけたんじゃないかしら?」
≪あれ?でも、さっきから声が・・・≫
博士の不在と返事を聞いたが電話越しに聞こえる博士とコナンの声に可笑しく思い、新出は聞き返した。
「あぁ、これ?テープの声よ。何のいたずらか知らないけど。
さっきから、ずっと流れていたの」
新出の質問に答えながら、灰原は流れていたテープの再生を切った。
「それより、何の用?」
≪あぁ。実は君に用があったのだけど…≫
テープを切った灰原は新出に用件の内容を聞き、不審の理由を知った新出は灰原の質問に答えた。
≪ほら、君の風邪、なかなか良くならないって言っていただろう?
だから、一度設備が整った病院で見てもらったほうがいいと思って、知り合いのドクターに聞いてみたのだけど・・・
出張するとかで今晩しかしていないらしいんだ。そこで・・・
急な話で悪いけど、今から迎えに行ってもいいかな?
博士には後で、こっちから連絡しておくよ。
ま、無理にとは言わないけど・・・≫
灰原は新出の話を聞いて、少し考えたら、顔を上げ二つの返事をした。
「かまわないわ。勝手なことされて頭にきていたところだし…
一人で留守番も退屈だしね」
≪良かった。それじゃあ、そうだな…
今から一時間後に博士の家(そっち)に行くから。
すぐに出られるように準備をしておいてくれないか?≫
「分かったわ」
≪それじゃ、一時間後≫
そんな二人の会話をイヤホン越しに聞いていた、元帝丹高校の英語教師であるジョディは口角を上げ、洗面台の鏡裏に貼ってある複数の写真を見ながら聞いていた。
会話が終わり、電話が切れたら今度は右手に機械と一緒に持っている×が付いた女性の写真を見た。