Bullet of the promise
□第七話
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過去を話し終え、口を閉じたとき、部屋中は誰一人いないのではないかと思うくらい静かになった。
漸く沈黙を破った。
『私の過去の話は此処までよ』
私の話を黙って聞いていた哀ちゃんは静かに口を開いた。
「思い出した・・・
たまにしか会えないお姉ちゃんが、楽しそうにその人のことを話していた。
確かその人の名前も“ユリナ”だって…」
哀ちゃんは肩を震わせながら、たった一人の姉のことを話した。
「“いつか、その人に会わせあげる”って、嬉しそうに話していたわ・・・
“私の親友だ”、“志保も絶対に仲良くなれるから”って・・・」
彼女の握り締めた手の甲に雫が落ちた。
その様子を見て立ち上がり、哀ちゃんの少し離れたところまで来て、片膝を付いた。
『明美も貴方のことを大切そうに話していた。“たった一人の大事な妹”って。
私は、明美が時々悲しそうな顔をしていることは知っていたのに、何もしてあげられなかった。
命を助けて貰ったのに、私は明美を助けられなかった。
貴方にはバスジャックのあの時も、昨夜のことも・・・
大事な時に私は貴方のことを守れなかった。
貴方のことを頼まれたのに・・・
自分で“絶対に守る”って決めたのに、何も出来なかった。
このこと全てを踏まえて・・・』
本当にごめんなさい
彼女に頭を下げ、深く謝罪した。
『“許して”なんて言わないし“信じて”なんてことも言わない。
でも、貴方のこと、守らせて。
明美のためにも、私のためにも、貴方の未来のためにも・・・
私を好きに利用していいよ』
「!!」
顔を上げ、哀ちゃんにはっきりそう言うと、彼女は肩をビクッと震わせた。