Bullet of the promise
□第十話
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『はあ〜…買った買った…』
ショッピングを満喫した私たちは、休憩のために近くにカフェに来た。
もう友梨奈さんはホクホクした顔をしている。
「そうですね!かわいいものたくさんありました!」
『新しいお店とか増えてて楽しかった〜』
紅茶が入ったカップに口をつけ、一口飲むと、ふと友梨奈さんは思い出したように話題を変えた。
『そういえば、あの探偵ボウヤから、何か連絡は来たの?』
「ぼ、ボウヤって・・・;
新一はもう高2で“ボウヤ”と言える歳じゃ…;」
『いつまでも蘭におんぶに抱っこされているんじゃ、まだまだ“ボウヤ”よ。あ、それとも坊ちゃんと言った方が良かった?』
いえ、どちらも意味は一緒かと…
で、どうなの?と聞く友梨奈さんの問いに首を振って答えたら、彼女は深いため息をついた。
『まったく・・・もしかしてと思って聞いてみたが・・・
やっぱり、してなかったのね』
「はい、まあ・・・」
『どうせ、“事件で忙しい”とか言っているんでしょ?』
そのとおりです・・・
『そのうえ、こっちから電話してもあまりでないくせに、自分の都合で連絡してくるんじゃない?
それも、ほぼ用件を短く伝えて』
この人、本当に何者なの?
まるで見てきたかのようにあたってる・・・
『蘭。もっとわがままを言ってもいいんじゃないかな?
会うことは難しくても、もっと連絡をしてほしいとか・・・
いつまでも溜め込んじゃだめだよ?』
「でも・・・あまり新一に迷惑をかけたくないんです・・・
なんだかんだで、私もアイツに助けられていますから・・・」
『・・・・そう言うんじゃないかと思っていた』
でもね、蘭。
そう思う貴方の優しさも大切だけど、ずっと我慢ばかりしていたらつらいよ
会いたい。でも、迷惑はかけて嫌われたくない。
二つの違う気持ちをずっと天秤にかけていたら、その間にどんどん相手が遠くに感じてしまうようになる。
そうなる前に、一度でも自分の正直な気持ちのほうに重りを加えてもいいんじゃない?
友梨奈さんは頬杖を付いてそう言った。
本当に彼女は私たちのことを良く理解している。
どんなに悩みを隠していても、どんなに悲しいことを隠していても、彼女にはお見通しだった。
友梨奈さんの話を聞いて、心につっかえていた悩みや不安もスーッと消えていくのを感じる。
私は‘あぁ。この人はホントにすごい人…全然敵わない’って思った。
『でも昔、貴方に似た人がいたな。』
「え・・・」
『・・・平静を装って陰で泣いていた人が・・・』
「!!」
何故、友梨奈さんがその言葉を・・・
彼女は頬杖を付いたまま窓の外を見ていたから、私の様子には気付いていないようだが、私は彼女の言葉に目を丸くした。