Bullet of the promise
□第十六話
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「移動ですよ、移動!
ここに水無怜奈が居ることが組織に知られた以上、ここに留まる意味はありません!
議論の余地はないでしょう?」
ジョディさんは声を上げジェイムズさんに訴えた。
「だがな・・・移動先の病院も決まっていない状況で、昏睡状態の彼女を闇雲に連れ回すのは・・・」
ジョイムズさんの言うとおり、意識が戻っていない彼女を用意もなしに連れ回すことは避けたいことだ。
「それに、今動けば途中で蜂の巣にされかねない・・・」
赤井さんはカーテンを少し開け、外を見ながら言った。
窓近くの壁に背を預けながら、赤井さんの言葉に疑問に思ったジョディたちに言った。
『捜査官から連絡がありました。
裏エリアを警護していた捜査官が隣のビルの屋上に蠢く不審な人影を目撃したって』
「じゃあ、組織はもう・・・」
「とにかく、この状況を院長に話して、何か策を練らねば・・・」
ジェイムズさんは内密に協力して貰っている院長さんに話をしようと部屋から出ようとしたところを赤井さんが止めた。
「事情を話しヘタに協力させれば組織の目には最初から病院ぐるみで水無怜奈を匿っていたように映りますが、逆にこの状況で病院側に何の動きがなければ・・・
FBIと関わりのないただの病院だと思わせられるかもしれませんから」
被害を出さないために院長たちには何も知らせないことしか守る手立てはない。
しかし、ジョディさんはここから動けない患者たちのことや組織が乗り込んでくることが分かっていながらも、何もせずただ待っていることに反発した。
そんなジョディさんとは反対にこの状態でも赤井さんは冷静にそれを否定した。
「ただ待つんじゃない。引くんだよ」
「ひ“引く”って?彼女を置いて逃げるってこと?」
「いや、引くのは・・・手薬煉だ・・・」