Bullet of the promise

□第十七話
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ジョディ達がコナンに過去の話をしている一方、友梨奈と赤井は病院の屋上に来ていた。




赤井は出入り口の近くに背を預け立ち、友梨奈は柵に身を預け夜景を見ていた。


彼らの間には会話がなく、少し冷たい風が二人の頬を撫でたところ沈黙を破ったのは友梨奈だった。






『少しずつですけど、彼らに追いつきそうですね…情報を少しでも掴めるチャンスが来れば、少しずつ潰せて、明美の仇も討てる。


でも、ごめん明美…』







突然の謝罪に赤井は閉じていた目を開け友梨奈を見た。




背景に輝く夜景の光一つ一つが彼女の姿を照らし、静かな風が髪を靡かせ見えなかった顔が覗く。



その姿は美しいが時に不安が赤井の胸に呼び寄せる。









彼女が儚く、どこかに消えてしまいそうで…




















『数個限定プリン持って行くって言ったのに
予想以上に美味しくて明美の分まで食べちゃった…』




「(何をしているんだお前たちは…)」







口を開いたら残念だが。




友梨奈は赤井の視線に気付くことなく、目の前の夜景より遠く遠くを見つめる。







(そして、“あの人”を…)






バサッ









『?』





突然肩にほんの少しの重みを感じ、友梨奈は我に返って肩に目を向けた。




肩の重みの正体は黒い服だった。




さらに後ろを向くと、そこにはいつもと違って上着が脱がれ、黒いシャツを着た赤井の姿。


友梨奈にかけられた服は彼のジャケットだったのだ。





「着ておけ」





赤井は友梨奈に背を向け、そっけなく言った。


友梨奈は赤井の上着に手を当て、彼のほうを見た。





『風邪ひきますよ』



「問題ない」



『インフルエンザ流行っているそうですよ』



「そうか。俺はそんなヤワじゃないから安心しろ」









それを聞いた友梨奈は赤井の言葉に甘えようと思った。



ジャケットからの彼愛用のタバコ匂いに心地よさを感じ目を閉じるが、それはほんの数秒だった。



二人の人物の姿が頭に浮び静かに目を開けた。






『…ありがとうございます。でも、私はもう戻りますから大丈夫です。

インフルエンザかかるといけないので』



「何故そんなにインフルにこだわる…」





友梨奈は赤井に上着を返し、扉に手をかけたが赤井が自分を呼んだ理由を聞いた。






『それより、私を呼んだのは何か話したかったんじゃないんですか?』



「・・・何故、自分がしたことを隠したんだ?」



『え!?もしかして赤井さんの珈琲プリン食べた事バレたんですか!?』



「(やっぱりお前だったか…)そうじゃない。楠田の携帯のことだ。


あのボウヤに付いて行ったのではなく、自分から楠田の携帯を壊しに行ったんじゃないのか?


何故それを隠した?」



『私が言ったことは本当ですよ』



「………。」



『…私、戻ります。赤井さんも風邪引く前に戻ってきてください』





友梨奈は扉を開けて屋上から出た。
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