Bullet of the promise
□第三話
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「…あの中に知っている子供がいるのか?」
『はい、まあ…で、さっき言いかけたの、何だったのですか?』
「ああ…なんでも、ストラップに“P&A”に血を塗りつぶしたみたいだ」
『“P&A”…でも、それで一体、何が…』
“分かるのですか?”、と最後まで言う前に、男はさらに車の速度を上げた。
不思議に思い前へ顔を向ける。
『?……あの、ここもう埼玉県ですが、ジェイムズさんが何処にいるのか、分かるのですか?』
「前のパトカーの中だ」
『………え?』
「“P&A”の“&”をアルファベットに書き換えてみろ」
“P&A”の“&”をアルファベットに…
P and A…PandA…
“パンダ”
『なるほど、“パンダカー”ですか…』
「そういうことだ…」
『ところで、赤井さん…』
「なんだ?」
真面目なトーンで彼に言う。
『私は白黒パンダより、ラ●カル(=レッサーパンダ)派です』
「知るか。」
バッサリ切り捨てられた、はい。
『…そこまで分かっていたのに、私が急いで来た意味ありました?』
じとー…、と隣を見るが、彼は知らんぷり。
理由も分からず連れて来られて、不満な顔以外できますか!
すると男は赤信号で例のパトカーの隣に車を停め…
「………。」
「!!――ッ…」
そのパトカーを運転する誘拐犯の一人に怪しい笑みを見せる。
『そんな悪人顔するから、怪しまれるんですよ』
「いい趣味しているだろ?」
『ソーデスネー…』
小声で会話していると、後ろからサイレンの音が複数聞こえた。
信号が青に変わったと同時に男は発進させ、バックミラーで後ろの様子を見ていた。
複数のパトカーと刑事のと思われる車。
そして、それらの前には黄色のビートルが走っていた。
「た、助けてくれー!」
「お巡りさーん!」
誘拐犯のパトカーを抜いたビートルから三つの子供の声。
呼ばれた?…わけないよね、うん…
結局、新一発案(多分ね!)により、誘拐犯はあっという間にパトカーに囲まれ、お縄についた。
だが、誘拐犯たちを本物のパトカーに入れ終えた刑事たちは、事情聴取前に忽然と姿を消した人質の外国人を捜した。
「やっぱり怪しいわね、あの外国人。事情聴取、前に姿をくらますなんて…絶対何かあると思わない?」
「そうか?いい人そうに見えたけど…気になったのは名前ぐらいだよ」
「名前?まさか“ブラック”だから?」
「いや、“ジェイムズ”の方だよ」
「あら?“ジェンムズ・ボンド”に“ジェイムズ・ビーン”…私には割といいイメージの名前だけど?」
「…プロフェッサー(教授)“ジェイムズ・モリアーティー”
犯罪界のナポレオンでホームズの宿敵、モリアーティー教授のファーストネームさ。
ま、こんなこと思うのは、シャーロキアンぐらい。“ジェイムズ”なんてよくある名前だよ」
「そ、そうね…」
灰原が怪しむ彼より、コナンにはある人物が気になっていた。
「………(車の中から俺たちを見ていたあの男とその助手席にいた帽子の女…)」
男の方は、バス乗っ取り事件の時の乗客の一人、確か事情聴取で…“赤井秀一”とか言ってたよな…
「(帽子と言えば、あの時、友梨奈姉も被っていたが…)」
コナンはそこまで考えると、“まさかな…”、と考えるのをやめた。