Bullet of the promise

□第二五話
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蘭達が出て行き店に向かうところを書斎の窓から見る沖矢さん。


そんな彼に警戒の目を向けながら話しかけた。










『どうして新一の住んでいたという痕跡がないことに気付いたのですか?


衣服もアルバムも探らないと分からないことじゃない。

日記なんて特に』




「――と言いますと?」







『探ったのではありませんか?この家を』









私の質問に沖矢さんは答えずただ口角を上げるだけで、それを肯定と見なした。








『何故新一が会ったことのない人が住むことに許可したのかは分かりませんけど…

新一も蘭も私にとって大事な弟妹のような子』



「………。」



『これ以上彼のことを探られるのは私としてもあまりいい気はしません。

知りたくなる気持ちは分かりますが、ほどほどにしてください』



「貴方がそう言うなら、分かりました」








沖矢さんは抵抗することなくあっさり承諾したことにますます不審を抱いた。












数十分後。


WELCOME BURGERに行っていた蘭たちが戻って来た。

蘭の手にある紙飛行機は一昨日とは別の模様が入っていた。




一見何も模様が入ってないと思ったけどよく見ると、飛行機を飛ばすとき、持つ部分に胴体の折り目に棒が5本。

モールス符号で長点5つは0を表す。



反対側にも模様が入っていてそのまま見るとただ単に折り目に沿って線を引いているように見える。




しかし…紙飛行機を逆さにすると…





『アンテナのマーク…』



「アンテナのマーク?携帯電話の?」






折り目に沿って書かれていた線を見たらそっくりだった。





「つまり胴体にはいった5つの長点と合わせると電波が0…

さらに最初のSOSを踏まえると‘自分は電波が届かない場所に囚われているから助けてくれ’という意味になりますね・・・」



「すっごーい!昴さん名探偵!!」






沖矢さんの推理に感激し園子ちゃんの彼に対する好感度がUP。
よかったね。






『でもまだ圏外にいることだけが分かっただけで、居場所が掴めていない』



「あ、待って。一昨日と昨日に回収されたんなら今日だって!!」






きっとテレビのニュースで別の紙飛行機が回収された情報が流れているかもしれない4人はテレビがあるリビングに向かった。














≪本日末明、逃走中にビルから投身自殺した誘拐犯の身元は未だ判明しておらず、誘拐された造船会社社長、代田育雄(だいたいくお)さんの行方も不明のまま。
警察では代田さんへの怨恨の線も考慮に入れ誘拐犯の身元の割り出しと代田さんの捜索を続行する模様です≫







「この代田社長って元船乗りの経験を生かして会社を大きくした苦労と努力の人だって今朝のニュースで言ってたよ」



「もしかしたら…この誘拐事件、紙飛行機と関係あるかもしれない…」



「「え?」」








沖矢さんの発言に蘭と園子ちゃんは彼を見た。







「元船乗りなら非常用通信手段として使われていたモールス符合を知っていても不思議はない。」







だからもしかしたらこの紙飛行機を飛ばしているのは代田社長という訳だ。








「夜な夜な犯人の目を避けてSOSの紙飛行機を飛ばしているのも頷けます」



『例え誘拐犯に拾われてもその意味が分からなければ問題はない』



「そっか、これなら仮に犯人に拾われたとしても子供の悪戯だって思わせられるもんね!」



「もしかしたら代田社長はあまり身動きがとれず雑誌しか手に取れない状況かもしれませんね」







これで紙飛行機を飛ばしている人物を特定し
ていたら待っていた紙飛行機の続報が流れ始めた。









≪只今、問題の紙飛行機が今朝発見された米花タワーマンション前の公園に来ております!


では、まず気になる今回の機体の模様は・・・


こちら側には何もなく、反対側には丸が1つと欠けた丸が4つ左右対称に描かれており、しかもよく見ると怪しげな折り目が入っていて謎は深まるばかりです≫











「折り目だって?」



「テレビじゃよく見えないね・・・」









沖矢さんはポケットの手帳から紙を破り、折り始めた。
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