Bullet of the promise
□第三十話
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13日の金曜日。
あの日、あの人がいなくなったことで私はその迷信を信じるおえなくなってしまった。
FBI捜査官、赤井秀一。
私の上司であった彼は、私の知らないところで組織に戻った水無怜奈の罠にワザとはまりに行き、二度と会うことができなくなってしまった。
私もジョディさんも他の捜査官達も彼を亡くしたことにより、一生消えることの無い楔を打たれてしまった。
もう二度とあの顔は見られない・・・そう思ってしまった。
あの時、“アレ”を見たときまでは・・・
雪降る季節になり、私は久しぶりにFBIの仲間と共に酒屋に行っていた。
「勘弁してくださいよ、ボス。
もう誕生日を祝う年じゃありませんし」
「まあ、そう言うな。皆で軽く一杯やるだけだから」
そう、今日は今回増員された捜査官の一人で水無怜奈のことで大活躍したキャメル捜査官の誕生日を祝うために私も呼ばれたのだ。
本人はあまりのる気じゃなさそうだけど・・・
「し、しかし・・・」
「気にすることないわ、キャメル。
組織の捜査が長引いてるから・・・何かにかこつけて生き抜きしたいだけなのよ。
勿論、ジェイムズの奢りなんでしょう?」
「あ、ああ」
「そうと分かれば、いいお酒を選ばなきゃね!」
「お、おいおい、あまり高いのは止してくれよ;」
『私はあまり飲めないから、できるだけ度数が低いのがいいな・・・』
ジョディさんはパンッと手のひらを叩き張り切ってお酒を選び始めたが、あるお酒の前で止まった。
そのお酒は・・・BOURBON(バーボン)
水無怜奈からの情報で新しいメンバーで厄介な人物のコードネーム。
「バーボン。組織に再び潜入した水無怜奈からその情報を得て暫く経つが・・・」
「いっこうに姿を見せませんね。その探偵のような奴」
「ああ。バーボンの標的は恐らく組織で“Sherry”と呼ばれていたあの少女。
これまでの経緯から察すれば・・・その少女に我々FBIが関与していると組織に思われても可笑しくはない。
何らかの形で我々に接触してくると踏んでいたのだが・・・」
「そうですね。前にその少女が仕掛けたものと同じ盗聴器を使ってあの毛利探偵事務所に組織を誘き出し、それをFBIが終わらせましたから・・・」
「もっとも、実際に盗聴器を仕掛けたのはあの江戸川コナン君だったようだがな・・・」
2人の会話を耳にしながら、私はジョディさんが持っているお酒を見ていた。