Bullet of the promise
□第三十話
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雪が降る街中を歩くジョディさんを見つけ私は彼女の名前を言いながら追いついた。
「友梨奈・・・」
『ジョディさん・・・
気持ちは分かりますが、キャメルさんに言ったあの言葉はもう言わないでください』
「え?」
『赤井さんの名前を出すなとは、彼が生きていたことを言うなというようなことだと私は思います』
私の言葉にジョディさんはハッとした。
『そんな・・・そんな悲しいこと言わないでください。
その人がもういないとしても、私達はその人が生きていたという証人なんです。
私達にとって彼がどんなに大きな存在だったか、お互いに留めることが大切ではありませんか?』
きっと私はひどい顔をしているだろうな。
ジョディさんが私を見る顔も徐々に悲しい顔をし始めた。
「(ああ・・・シュウが本当に惚れた子がこの子でよかった・・・
こんなに優しくて、シュウのことを思ってくれているんだもの・・・)
そうね、ごめんなさい。ついカッとなって」
『いいんですよ。ジョディさんにとって赤井さんはただの同僚ではなかったのでしょう?
確か、明美と付き合うために別れたと聞きました』
「ええ・・・でも、それでも良かった・・・一緒に仕事ができるだけでも良かったのに・・・」
『ジョディさん・・・・
!!?』
涙をためる彼女を横断歩道に渡ると人ごみのなかの一人を見て私の足は止まった。
ジョディさんも“どうしたの?”と聞いて私が向いている先を見て目を見開いた。
そこにはとてつもなく赤井さんによく似た男性の姿があったから・・・
「(シュウ?)
ちょ、ちょっと待って・・・シュウ待って・・・シュウ!」
『あ!ジョディさん!待って、ジョディさん!』
驚き呆けていた私は我に返りその男性を追いかけたジョディさんを追った。