Bullet of the promise

□第三九話
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「ホント、そっくりだな!この“死”って血文字」



「じゃあまさか、10年前の殺人犯がまた現れたってこと!?」



「連続殺人じゃない!!」



「ああ。ネットで調べたら、10年前の死の血文字の写真は公表されてないから、同一犯の犯行と見てまず間違いないと思うよ」



「・・・――っ(確かにそっくりだけど・・・10年前のあの時、父さんは・・・)」















「保証しますよ。この工藤優作が。


この“死”という文字を書き残す殺人犯は、金輪際出現しないということをね」


















「・・・・(どうなってんだ?二度と現れないんじゃなかったのかよ?






父さん・・・)」







昔父が言っていた言葉と今回の事件の矛盾に少年は困惑する。



その後ろには扉に体を預け、少年の後ろを見ている人がいた。



















高校生三人はコナンから10年前、遺体の傍に“死”の血文字を書く犯人はもう二度と現れないって工藤優作が言っていたことを聞いた。







「新一兄ちゃんが10年前に父さんから聞いたって言ってたよ」



「私もその写真を見せられたとき、新一がそう言ってたの覚えてる。


“しかもそのおじさんの掌や指に血はついてたんだけど、指先には付いてなかったから、死んだおじさんが自分で書いた字じゃないのに、なんで殺人じゃないんだ?”



って、新一、不満タラタラで」




「でも、確か10年前のその事件、事故死とかじゃなかったっけ?」







園子の言葉に“どうして?”と疑問を持つ真純に、コナンは詳しいことが書かれている紙が入っているという封筒を渡した。









亡くなったのは、保育園の園長の郡山武文さん。




死因は心臓へのダメージによるショック死。

胸部に刺さった金魚蜂の破片により、心臓を貫かれ、亡くなった。






保育園の水槽掃除のために、一旦金魚を金魚鉢に移す予定だったが、

その金魚鉢を自宅に金魚鉢を忘れて取りに戻り、保育園に持っていく途中で近道である公園を通った際に、運悪く石畳の段差につまずき、金魚鉢を抱えたまま転倒して亡くなったようだ。




遺体の第一発見者は、その保育園の園児である西村亮佑くん5歳で、お寺の住職の一人息子。



園長が戻ってこないと他の保育士たちが騒いでいた時、この少年から来る途中で園長先生が倒れているのを見たと聞き、公園に駆け付け、遺体を発見したとのこと。





少年は当所おどおどして無口だったが、少年が持っていた食べ始めると、漸く口を開いてくれた。



他の園児と一緒に公園でこっそり子犬を飼っていることや、保育園に行く途中で犬の様子を見に行ったこと、そして倒れている園長が返事をしなかったため、亡くなっていると思い公園の花を摘んでお供えしたことを。













書類の内容を聞き、蘭は持っていた写真を見て、園長と血文字と一緒に花が置いてあることを確認した。





「でも、お供えしたというより、散らばっているよね」



「きっとこの文字を書いた犯人が蹴散らしたのよ」



「でも、その園長が誰かに殺害されたんだとしたら、金魚鉢を抱える園長を後ろから押して致命傷を負わせ、流れる園長の血で文字を書き残したんだろうけど・・・

少年は花を供えたとき、こんな血文字はなかったって言ってたらしいよ。




となると、犯人は園長を倒して殺害した直後、少年が着たのに逃げもせず、一旦隠れ少年が立ち去るのをしばらく待ってから再び遺体に近寄りあの血文字を残したってことになるけど」




「・・・!もしかして、その少年なんじゃない!?きっと、お花を供えたときに書いたのよ!ほら、お寺の子だから、死を弔うみたいな!」



「でも、5歳の子だよ?“死”なんて漢字書けないんじゃない?」



「・・・・・;(大して年が違わないコナン(コヤツ)は書けそうだけどね・・・)」







園子が見る少年は蘭たちが今朝見たって言うなくなった男はどうだったかと聞く。10年前のこの事件と何か同じところがあれば、犯人を捕まえるヒントになるかもしれないからと。




しかし、血文字以外は何もなく、遺体の傍に落ちていたのは花ではなく、タバコだったと答えた。




真純も今朝の男はアルコール依存症で、最初は静脈瘤破裂で吐血したものだと思ったが・・




「遺体の逆側から書かれたあの血文字を見つけるまではね」











「つまり、この二つの事件の共通点は、書体が酷似している“死”の血文字と、一見殺人には見えない二つの遺体のみというわけですね?」









すると、そこに沖矢がキッチンに入ってきて、話を聞いていたのか、今までの会話をまとめた。





さらに彼は、真純が持っていた封筒を取り、中に入っている新聞の切り抜きによると、公園に駆けつけた保育士が死の文字に気づいたのは、遺体を起こそうとして動かした後。




10年前の写真は、遺体が少し動かされた後で、少年が遺体を見つけたときは血文字はすでに書かれていて、体に隠れて見えなかったのではないか



と、推理を述べた。








「あ、すみません。でしゃばってしまって・・・」



「………。」



「あ、昴さんはホームズファンで、推理するのがとっても好きなんだよ」



「へー・・・」








真純はコナンの説明を聞き、沖矢を探るような目で見る。




話は戻り、蘭たちが今朝見た遺体も、仕事仲間の男たちが揺すっていたため、もしかしたらあの遺体も少し動いてた可能性がある。



すると、コナンは蘭が通報してやって来たのが高木刑事ならば、何か教えてくれるかも提案した。
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