Bullet of the promise
□第四一話
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ああ…やっぱり事件起きたか…
と、遠い目をしながら現場に入る。
「これって、ガチで殺人事件なの?」
「ああ。誰かがこの人のこめかみを拳銃で撃ち抜いたんだ」
「でも、この部屋チェーンロックがかかってたから、無理やり鎖を引きちぎって入ったよね?
だから、自殺なんじゃない?」
「そのロックをかけた方法はまだ謎だけど・・・こめかみの銃創の周りに焦げた跡がない。
離れた位置から撃たれた証拠さ。拳銃で頭を撃つ場合、銃口を頭に密着させるはずだからね」
「でもさ・・・撃つ直前に怖くなって思わず離しちゃったとかは?」
「それはないと思うよ・・・拳銃の先にサイレンサーが付いてるでしょ。
こんなに長いものを頭から離して撃つなんて、無理があるんじゃない?」
『それに、遺体の向かい側にあるソファ。
被害者の手や袖に発射残渣をつけて自殺に見せるために、一発余計に撃ったような跡があるでしょ』
勿論、犯人にも発射残渣は付くが、手は洗えば取れるし、服は部屋の窓から捨てればいい。
「でもま、犯人はまだ確実にこの列車内だ。逃しはしないさ」
すると、コナン君は懐から携帯を取り何かを見る。
「とりあえず、オメーらは蘭姉ちゃんや友梨奈姉ちゃんたちと部屋に戻ってろよ」
「えー!僕たち何か手伝いますよ!」
「歩美もー!」
そう言う子供たちにコナン君は・・・
「余計なことはすんな!俺が戻ってくるまで部屋に鍵をかけて、誰か訪ねてきても絶対にあけるんじゃねーぞ!!」
と、怖い顔をして言い放った。
『………。』
「――っ!?何よ急に?」
「怖ーぞ、お前…」
そんな彼を見据える子供たち。
「え?ああ・・・だから・・・ホラ、殺人犯がまだうろついているから、危ねーだろ?」
そんなコナン君たちの騒ぎに8号車にいる乗客と車掌が集まり、本当に殺人が起きたことを蘭は説明する。
「とにかく車掌さん。すぐにこの列車を停めて、警察が来るまで部屋を出るなって客たちに伝えてくれ!」
「は、はい!」
数分後。
真純ちゃんの指示通り、列車内には放送が流れ他の乗客たちは不思議そうに部屋へ入っていった。
≪お客様にご連絡いたします。先程車内で事故が発生しましたため・・・――≫
その放送をポケ〜っと聞いていたら、服の裾を掴まれたのを感じた。
視線だけ下に向けると哀ちゃんが怯えた顔をしていた。
『………。』
その原因は恐らく今私達の横を通り過ぎようとしているこの黒ずくめの男性だ。
その男性を横目で見て警戒する。
すると・・・
「あれ?貴方も乗ってたんですね、安室さん!」
『げ…』
「ええ、運よくチケットを手に入れたんで。あ、さっき食堂車で毛利先生ともお会いしましたよ。
それと友梨奈さん。僕の顔を見てそんな反応しないでください」
“僕何かしましたか?”と聞いてくる安室さん。
何て白々しい人だ!自分の胸に聞いてみなさい!
私の事根ほり葉ほり聞こうとしていたでしょう!バイトのポアロで!ってもう言っちゃってるよ!
「ねえ、蘭!誰よこのイケメン?」
「前に話した、お父さんの弟子になりたいって探偵さん」
「へえ〜この人が…ど〜もぉ、鈴木園子で〜す!」
「よ、よろしく…」
と、苦笑して応える安室さん。
ダメだよ園子ちゃん、騙されちゃ。人のどうでもいい事なぜか聞いてくる人なんだよ。
「それより、車内で事故があったようですけど、何か聞いてます?」
「それが、殺人事件があったみたいで、今世良さんとコナン君が現場に残ってるんですけど」
「ホォー…それなら毛利先生にお任せしたほうがよさそうかな」
と、小五郎さんを呼ぶことにして、私たちは部屋に戻ることにした。