Bullet of the promise
□第四六話
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私が離れたせいで劉が容疑者となってしまった。
しっかし…本当によく事件を呼んでくるな、このちびっこ探偵…!こんな大事な時に事件呼ばないでよ!巻き込まないでよ!
「いへへへへ…ッ」
恨みを込めて事件をホイホイ呼ぶ少年の柔らかいほっぺたをみぃ〜っと引っ張る。
子供の肌は本当に柔らかい。羨ましいぞこの野郎。
兎に角、劉は絶対に人を殺めるようなことはしない。
だが、それを証明しなくては、真相を出さねば、容疑者から外されることがない。
なんとしてでも、“時間”までに事件を解決しなければ!
事情聴取を終え、鑑識さんの許しで如月さんの遺体を調べる彼らの隣でそれを見ていると、気になることがひとつ。
彼女の項には赤黒い小さなもの。
私の隣で見るコナン君もそれに気づいたようだ。
しかし、何でこんなのが…?
と、思っていたら事情聴取の際、ある人の行動を思い出した。
その時、頭の中でピースが嵌って行った。
隣のちびっこ探偵も気づいたようだ。
となると、あとは・・・・
そう思って、如月さんに近寄って彼女の服と携帯からあるものを見つけ、ピースが完全に嵌るのを感じた。
さあ、久しぶりの謎解きをしよう
コナン君を通して事件現場に来てもらった目暮警部たち。
「事件の真相が分かったって本当かね?友梨奈君」
『はい。その前に容疑者の皆さんが持っているもの。もう一度、全てこちらのテーブルに出してもらっていいですか?』
指したテーブルに不思議そうな顔をする紅さんたちと特に気にする様子もない劉。
事情聴取の時と全て同じ物があることを確認したら、“では”と話し始める。
『この事件の謎は二つ。
一つは、何度も口つけた珈琲なのに、何故最後を飲むまで毒が回らなかったのか。
二つ、どうやって自分で持っていた如月さんのカップの中に毒を入れたのか。
ですよね?』
「ああ…猛毒を使われていたのに、被害者は最後まで毒が回っていなかったの不思議だし、持っている自分のカップに誰かが何かを入れたら、すぐ気づくはずだからな。
それが分からない以上、犯人が絞れなくて・・・」
『それが犯人の罠だったとしたら?』
!!?
「ど、どういうことだい?」
『如月さんを毒殺した毒は、珈琲が入ったあのカップではなかったということです』
「カップの毒はフェイクだったと?」
「これを見てみて!』
コナン君が鑑識さんに現像してもらった一枚の写真を目暮警部に渡した。
ちょい待て、いつの間にその写真取ったんだ。
私胸ポケットに入れていたんですけど…
まさかそこから取ったの?エッチ…
「これは?」
「如月さんの項だよ。友梨奈姉ちゃんが鑑識さんに頼んでプリントしてもらったんだ」
「これがどうしたっていうんだ?」
『よく見てください。小さな穴があるでしょう?』
「・・・本当だ!わずかに血が出ている。それじゃあ、毒は・・・」
『そう。毒は飲んだのではなく、刺されたもの。
まずその時点で、浅宮彰吾さんが容疑者から外れます』
「え?」
「ど、どうしてだね?隠し持っている可能性だってあるのに・・・」
何故だ何故だと顔をする警部たちに今度は彼らの持ち物を見るように言った。