Bullet of the promise
□第四八話
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何度来ても3人で暮らすには広すぎだろ、という大きさの工藤邸。
「ホォー、番組の収録に行くのですか」
『ええ。ギャラリーとしてですが、園子ちゃんに誘われて蘭たちと』
「その番組ってこの前友梨奈さんが見ていたスイーツ番組ですか?」
“どちらのスイーツでSHOW”
先週の夕食後、工藤邸のとてもとても大きなテレビで見た番組。
私も自分で作るほど甘いものに目がない。
その時のお題がイチゴでスイーツ対決だったから、食いつくように番組を見ていたのが記憶に新しい。
クスリッと何故か笑い出した昴さんに首を傾げる。
はてはて、私は何か可笑しなことしただろうか?相変わらず彼は謎な人だ。
すると、バッグに入っていた携帯が鳴り出した。
“すみません”と昴さんに言って電話に出ると、真純ちゃんからだった。
≪あ、友梨姉。今大丈夫?≫
『手短な話なら大丈夫だよ。どうしたの?まだ学校でしょ?』
≪そうだけどね・・・明日、友梨姉も番組の収録に行くだろ?僕も今朝園子君に誘われたんだけど・・・≫
園子ちゃんから客席で目立ちすぎて、日本のパティシエ界の重鎮、武木正徳さんの目をつけられたらどうなるかを聞いたそうだ。
番組の中盤で武木さんがギャラリーの中から一人を指名して自分が作ったスイーツを試食させる。
それに使われてるフルーツを当てたらその回で勝ったスイーツが食べられて、不正解したら即スタジオから退場させられるというわけだ。
≪だから、目をつかられない女の子っぽい服装がいいって蘭君に言われたんだけど・・・僕そういうの分からないから、アドバイスを貰いたくて電話したんだ≫
『女の子っぽいのは持ってる?花柄とか』
≪ああ!最近買ったものがある!≫
『じゃあ、真純ちゃんはいつもボーイッシュな服装だから、中に来ているものを変えるだけでも違う印象になるよ。
急に大きく変えると真純ちゃんも落ち着かないでしょ?』
≪なるほど!中を変えるだけでも違う印象になるんだな!ありがとう友梨姉!≫
“それじゃ!”と元気に電話を切った真純ちゃんに微笑み携帯を懐に入れた。
真純ちゃんがどんな服着てくるか楽しみだな〜…
次のスイーツと彼女の服装で明日が楽しみだとわくわくして昴さんの元へ戻った。