Bullet of the promise

□第五一話
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「これはこれは…」



「随分立派な別荘だな…」






着いた別荘の大きさに一同(友梨奈と園子以外)が驚きで開いた口が塞がらない。



勿論中も広く、早速部屋が割り当てられた。






子供たちは合宿でも使われる広い和室




二つの二人部屋は蘭と園子、小五郎と博士がそれぞれ使う





3つ並ぶ一人部屋の一番奥を劉が、一番手前に昴が使う。

友梨奈は個室の残りの真ん中、昴とも劉とも隣だった。












「俺たちはこの後、近くの旅館に挨拶に行ってきます。いいか?友梨奈」



『うん。じゃあ挨拶の品を持ってくるね』



「あの坂の上にあった建物は旅館だったのか」



「はい。ここにも浴室はありますが、旅館にはとても良い温泉があります」



「温泉!いいですね!!」



「私たちも挨拶についていってもいいですか?」



『勿論。じゃあ、行こうか』





紙袋を抱えた友梨奈と劉、コナンたち全員は坂の上にある旅館に向かった。
















―――――――
―――――
―――










「あらあら!友梨奈さんに劉さん!!!」






近くの旅館、滝村旅館に着き、劉が近くにいた従業員に女将を呼んでもらうと奥から女性が明るい声と笑顔で自分たちを迎えてくれた。






「まあまあ!こんなに大人っぽくになって!!」



『お久しぶりです、女将さん。相変わらずお綺麗ですね』



「まあ!友梨奈さんもすっかり大人の女性になって!劉さんも一段と男前になったわね!」



「今年もよろしくお願いします。今日は友梨奈の友人たちを呼びました」







女将は“いいのよ!”っと言って歓迎してくれた。






「ねえ!あれって友梨奈お姉さんじゃない?」





すると、旅館の入り口に飾られた写真の数々を見ていた歩美は一つの写真に指を指して聞いた。






ボールを両手に持ちこちらに満面な笑みを向ける少女とその隣にアイスを口に咥えた少年。







「ホントだ!じゃあ隣にいるのってもしかして、劉さん?」



「ええ。多分まだ友梨奈ちゃんたちが小学1年生の時じゃないかしら」



「二人ともすっごく可愛い!」






蘭の言うとおり、パッチリした目と小さな身体。顔もまだ幼いものだった。






「お、この写真に写っているのは歌穂さんと司さんか?」



『はい。その隣は劉のご両親です。毎年この時期に6人で来ていましたから』



「友梨奈さんってお母さん似なんですね」






蘭が4人の大人と2人の少年少女が写る写真で友梨奈の隣にいる男女を見て言ったら、友梨奈はよく言われる、と懐かしそうに写真を見つめた。









「ねえ、アレってこの旅館の見取り図?」



「そうよ。この本館と別館が3つあって、手前の本館が春、時計回りで夏、秋、冬っとなっているの。



この旅館が建った初代の女将さんが日本の滝廉太郎さんと言う作曲家さんからとっても好きでね、

名前の滝村旅館もその名前からとって、別館の名前も彼の作品からとったのよ。


部屋の名前は、季節に関係するものや花の名前。例えば、春館は桜の間が、夏館には花火の間があるの」








今冬館は建て替え中で使用禁止だけどね







と、女将の説明にコナンは“へ〜”っとじっと見取り図をみた。











そんな楽しそうに話す彼らから壁に身を隠し、ある人物を睨んでいた影があった。



そのことを気づいた者は誰一人いない。
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