Bullet of the promise
□第五二話
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すっかり日は暮れ、公園から帰って入浴も済ませ、夕食の準備をしていた。
皆、余程お腹を空かせていたのか、夕食の知らせが聞こえるとすぐにリビングにやってきた。
ある一人を除いて…
コンコンッ…
『劉?夕食が出来たんだけど…』
なかなか下りてこない幼馴染の部屋に訪れ何度も呼びかけるが、返事が返ってこなかった。
おや?
「何?劉がいない?」
『はい。部屋にも入ったんですが…』
「他の部屋は探しましたか?」
『あの人がよく入る部屋はすべて見ましたけど、見当たらなくて…』
「携帯に連絡は?」
昴さんの問いに首を横に振る。
『夕食の時間は伝えているから、忘れるはずないし、遅れるとしてもいつも私に連絡するのに…
あ、そういえば小五郎さんたちが旅館に行ってたとき、劉はいましたか?』
「いや、見てないな。てっきりここ(別荘)の浴室を使ってるんじゃないかと思っていたが…」
「どうしたんだろう、劉さん…」
「心配ね…」
劉の不在に子供たちや蘭たちも心配そうにお互いの顔を見合わせていた。
「とにかく、もう一度友梨奈君から劉君に連絡してみてはどうじゃ?もしかしたら、迷子になっているってこともあるじゃろうし」
『劉に限って迷子はないと思いますが…そうですね、ちょっとかけてみます』
博士の提案に懐からスマホを取り出し、彼に電話を掛けた。
だが、かけてから何度のコールが鳴るが、劉の声は聞こえなかった。
一度電話を切るが、さすがに不安が積もってきた。
すると…
ピンポーンッ…
「「「「?」」」」
急にインターホンが鳴り響き、別荘に慣れている私が代表して玄関へ行った。
『はい?』
「こんばんは、宅配便です」
『宅配って…誰から誰に…?』
「えっと…“一 葵(にのまえ まもる)様から星宮友梨奈様に”とのお荷物です」
『!!?』
「一 葵」…
忘れるはずもないその名前に驚愕した。