Bullet of the promise
□第五五話
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皆が就寝し、別荘内はすっかり静かになった。
だが、昴とコナンはそれぞれの部屋であることを調べたあと、カードの謎を解くために、スマホで撮ったカードの写真とにらめっこしていた。
「(友梨奈姉の話によると、今までのカードのヒントとなったものの共通点は、バレエの作品というのと、結末が悲劇なものだということ。
けど、確か、3枚目のカードの話は2つパターンがあると言っていたな…
だったら、一体…)」
「(それとそれぞれカードの端にある一文字の漢字。これにも意味があるはずだが…)」
「(クソォ…全然分かんねー!)」
昴は眉間にしわを寄せ、コナンは子供たちや哀が寝ている側で頭を乱暴に掻いた。
「(それに、一体何だ?“娘の大きさが変わる”って…
なんかのなぞなぞ…ってなわけないか;)」
「(そのままの意味で捉えるべきだが、何か手がかりがあれば……!)」
「(…でも、待てよ…)」
「(あの時、確か…)」
この時、二人の脳裏にある人物の引っかかることを思い出した。
『例えばくるみ…』
バレエの作品について蘭たちと話していた友梨奈の言いかけた言葉。
二人はスマホやタブレットで“バレエ くるみ”と入れ、検索した。
すると、その最初に出てきた文字に注目する。
“くるみ割り人形”
時は19世紀のドイツ。クリスマスイブに行われたシュタールバウム家のパーティーで、末娘の少女クララはくるみ割り人形をプレゼントされる。
クララは人形を気に入るが、それを羨んだ兄フリッツと取り合いになり、壊してしまう。
パーティー終了後。クララは一旦寝室に入るが、人形のことが気になり、今に忍び込んでいく。
すると、時計が“ある時間”を告げると、クララの体は人形のように小さくなる。
小さくなったクララはくるみ割り人形とネズミの大群の戦いを目撃。
クララの(スリッパによる)応戦によって戦いが終わると、くるみ割り人形は王子様に変身し、クララをおとぎの国に連れて行く。
おとぎの国ではクララを歓迎し、いろんな踊りが披露される。
だが、ふとクララが目を開けると、そこは自分の部屋ですべてが夢だったことに気づいたのであった。
「(“娘の大きさが変わる”とは…)」
「(このことだったのか!)」
その作品のあらすじを読み、ようやく一つ目の謎が解ける。
そして、クララが小さくなった時刻は…
“ちょうど時計の針が12時を指す時刻”
急いでスマホなどで時間を確認すると、
現在、11時57分。
「!!(ヤベェ!)」
「(まさか…!)」
二人は部屋を飛び出し、ある部屋へ向かった。
そこは友梨奈が使っている部屋。
隣の部屋を使っていた昴が部屋の扉を開けると、そこには彼女の姿が全くなかった。
ベランダの柵には部屋に取り付けられていたものだと思われるカーテンが結ばれ、地面へ向かって垂れている。
「昴さん!」
「…やられた。気配を消すのは上手いと思っていだが…まさかここまでとは…」
「何の騒ぎだ?」
二人の足音に起きたのか、部屋にやって来た小五郎や蘭たち、博士や子供達はその部屋の主がいないこと、ベランダにつけられたカーテンを見て、目を見開いた。