Bullet of the promise
□第五七話
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昴さんが運転する車の助手席で外をずっと眺める。
「心配しないでください。迷惑とか思っていませんから」
『え…?』
昴さんの言葉に外から運転席へ顔を向けた。
「迷惑をかけた、と思っているんでしょう?さっきから不安そうな顔をしてペンダントずっと弄っていますから」
無意識にペンダントを触っていた手を放した私を見て、昴さんはクスっと笑みを深めた。
「さっきも言いましたが、僕も彼女たちの提案に自分から参加したんです。迷惑なんて思うはずがありません」
『………。』
優しい声で言ってくれる昴さんにクスッと笑みを漏らす。
「それより、昼食は済ませましたか?」
『いえ…バイトが終わってすぐ蘭たちに拉致られましたから』
「(“拉致られた”…)では、まずはランチにしましょう」
と、微妙な顔をする昴さん。
なんですか…本当の事ですもん。バイト終わったら園子ちゃんたちが「着替えて!」「じゃあ行きましょう!」っと連れて行かれた。ぴゅーっと…
“カフェ ティー・キング”
『ここって…』
ランチで連れて来られた店の看板を見上げる。
「知ってるんですか?」
『あ、一度行ってみたいと思っていました』
「そうだったんですか」
店のドアを開けて入ると、それに気づいた店員さんが会釈と席の案内をする。
「ご注文はお決まりですか?」
「では、トーストサンドのハムとベーコンを一つずつ」
「トーストサンドのハムとベーコンを一つずつですね?お飲み物は?」
「コーヒーを」
『私はミルクティーをお願いします』
「かしこまりました」
『ここのトーストサンドが美味しいってニュースに出ていたんですよ。
昴さんは来たことあるんですか?』
「いえ、初めてです。蘭さんたちにここの事を聞いて、ぜひ行ってみたいと思ったんです」
2人で他愛ない話をしながら料理を待ったり、想像以上に美味しいと驚き、ぶつぶつとサンドイッチの中身を真剣に見たり…
いや本当に美味しいもん!
と、まったりとランチタイムを過ごした。
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頃合いを見てカフェを出て、再び車に乗り、別の場所へ移動していた。
カフェから出て、彼此1時間。
“遠出をする”と言う昴さんに目的地を聞くが、彼は“着いたら分かります”と返すばかり。
何処に連れて行くのだ?
不思議に思いながらも大人しく目的地まで外の景色を眺めていた。
「着きましたよ」
と、あれからさらに10分後。
昴さんが車を停めたのを確認し、シートベルトを外して車から降りてみた。
風に乗って香る潮の匂いとサァーっと心地のいい波の音。
『海…』
ぽつり、と呟いたその大海原はオレンジ色の夕日が水面を輝かせていた。
「近くの駐車場に車を停めてきますから、ここにいてください」
『あ、はい…』
驚きのあまり、一瞬時間が止まったように動かなかった。
昴さんの声にハッと我に返り、慌てて返事をする。
昴さんがそんな私にまたクスッと笑うと私が車から離れたことを確認して、駐車場へ車を停めに行った。