Bullet of the promise

□第六一話
1ページ/5ページ






昴SIDE





警護対象の彼女が博士たちとキャンプに言っている間。




俺はこの広いリビングである人物と待っていた。







ピンポーンッ…










「すまない、遅れてしまった」



「いや、大丈夫」






と、来客を中にいれた。



淹れたコーヒーをテーブルに置き、目の前のソファに座る彼、七条劉と向き合う。






「それで、相談したいことって?」





俺は彼がよく知る人物、友梨奈の最近の様子について話した。





あのデートで聞いた寝不足の原因となった夢のこと



彼女の隈が会うたびに酷くなっており、ふらついている時があったこと



仮眠を取るように言っても夢のせいで眠れないと言って断ること…






心配する俺に彼女は笑って言った。





『前にも似たような夢、見たことあるので大丈夫ですよ!時間が経てば見なくなります』





と…。






しかし、その時間が経つまでに友梨奈の身体がもつとは思えない。






夢を見る引き金を引いたのは俺だが、先日思いっきり彼女の身体が大きく傾いたのを見た時は、正直本当に心臓が止まるかと思った。

いっそのこと全部話したくなったが、何とか自分を食い止めた。





俺の話を聞いて劉は、そうか…、とつぶやいてコーヒーを一口飲んだ。







「また見ているのか…」



「やっぱり同じことが?」



「ああ。見始めたのは友梨奈の両親が亡くなった翌年。あの別荘に泊まりに行った時だ」







中学の時は俺の家で一緒に住んでいたから確かだ。




あの別荘に泊まりに行った初日の夜。







『いやああぁぁぁ!!』







最初は何も起きなかったが、急に隣の友梨奈の部屋から叫び声が聞こえた。




俺はすぐに駆けつけて中に入ると友梨奈が泣きながらうなされていた。




何度も友梨奈の名を呼んで何とか起こしたが、目覚めた最初はパニックになって俺にしがみ付いて言った。







『お父さんとお母さんがまた…ッ、今度は劉や晴香たちも…ッ

死神が私の大切な人を皆奪うの!


いやだ…怖いよ…ッ怖いよ!!』










その後、騒ぎを聞いて親父たちも駆けつけ、何とか友梨奈を落ち着かせたが…それから毎晩、友梨奈は魘されるようになったんだ。



小さい頃から友梨奈は夢見が悪かったが、こんなにひどい時なんてなくて驚いたよ。




悪い夢を見た時は添い寝をしたら必ず落ち着くが、その夢の時は何故かそれでも魘されていた。


工藤夫妻と一緒にお祓いさせたり専門病院へ行かせたりと色々手は尽くしたが、全く効果がなかった。



それが3ヶ月続いた。







顔を下に向け、辛そうに話す劉だが、ふと顔を上げた。






「でも、ある日からそれを見なくなったんだ」



「ある日…?」



「確かあれは中3の春。卒業旅行として俺と友梨奈、晴香、そして葵と一緒に別荘に泊まった時だ」









その頃、最近は睡眠薬を服用して寝ていた友梨奈だが、その初日に薬が切れてしまった。




友梨奈の状態を知っている晴香たちは大部屋で寝るように提案したが、その日もやっぱり魘されていた。





その時…







「じゃあ、友梨奈さん。僕と添い寝しよ?」





・・・・・。





「はあ!?な、何言ってんだ葵!」



「だって劉はいつでも添い寝できるだろ?いいじゃんたまには、僕と寝ても」



「“たまには”の問題じゃねーよ!

俺たちはただの幼馴染で兄妹のようにしかお互い思ってないけど、真っ赤の他人であるお前がそんなことしたら友梨奈が何されるか分かんねーよ!」



「全く劉も心配性だね〜」



「でも、劉君の言う通り、私たち中3だよ?ちょっとそれは問題があるんじゃ…」







葵の提案に俺も晴香も反対するが、彼はそれでもへらっと笑って言った。
(当時意味が分からず首を傾げる友梨奈は放っておく)









「大丈夫だよ!僕よく眠れるとっておきの方法知ってるから!」



「…やらしいことじゃないだろうな?」



「心配なら、晴香と劉が僕たちそれぞれの隣で一緒に添い寝すれば、友梨奈が助けを求めればすぐ分かるから大丈夫でしょ?

ま、何もする気はないよ!」



「……友梨奈はそれでいいのか?」



『よく分からないけど、試してみようかなって思ってる…』







結局、友梨奈の了承を得て、葵と友梨奈を中心にして俺たち二人はそれぞれの隣で寝ることになった。









そして、翌朝…










「………。」



「………。」



「………。」



『…スーッ、スーッ、…スーッ…』








起きた俺たちの目に入ったのは葵に擦り寄って静かに寝る友梨奈の姿だった。


あれから夜中に魘された声は聞こえなかった。




偶然だと思い翌日の夜も試してみたが、結果は同じ。




その旅行中に友梨奈が魘されたのは初日の夜の最初だけだった。









「結局、一葵は一体何を?」



「ああ、俺も気になって聞いてみたが…」







「僕も添い寝してただけで特別何かしてたわけじゃないんだ!」








「――ってへらっと言ってたよ…」



「………そうか」



「でも、添い寝するのも一つの手だ。









お前が無理やり手を出さないと誓うならな…」










ゴゴゴゴッ…、と背後に禍々しいものを出しながら言う劉に対して自信満々に言った。





「嫌がる女を無理やりする趣味なんて持ってないさ」












惚れた女なら尚更…












SIDE終了
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ