Bullet of the promise

□第五八.五話
1ページ/1ページ






昴SIDE




デートから3週間後。







「「こ、告白!?」」






デートの結果を知りに、毛利探偵の娘と鈴木財閥の令嬢が学校帰りに寄ってきた。





「ほ、本当ですか?///」



「ええ。友梨奈さんに確認したら分かりますよ」



「昴さんやる〜!」






どんな歳でも恋愛話は女性が一番好きな話題。



紅茶を飲みながら盛り上がる二人にあの日、2人と別れたあとのことを話した。



友梨奈の寝不足の話を除いて。






「じゃあ、友梨奈さんからの返事は…」



「まだです」



「イケメンでエリートで紳士で、そのうえ恋する人一途で…誰がどう見ても文句ないのにな〜…」



「付き合ったら美男美女で素敵なのに…」






勿体ない、と頬杖をついて言う彼女たち。




悪いが、この“顔”は本当のではないのだ。







「どんな理由で付き合えないんですか?」



「まあ、彼女には忘れられない人がいるみたいなので…」







そう答えると紅茶を飲み終えた二人はそろそろ帰ると言って、工藤邸を出た。





彼女たちが帰り一人となったリビングで“音楽”と小説を読みながらくつろぐ。





俺の答えに一人は不満そうだったが、事実だ。


友梨奈はずっと想っている。沖矢昴に似ているという男を…





もし沖矢昴と付き合っても、彼女は昴を通してその男を見てしまう、と言った。





彼女の様子からして、恐らく想い続けているのは、一葵(にのまえ まもる)。




日本の法律により死亡したことになっているが、今でも彼を彼女は探している、と昔聞いたことがある。





しかし、分からない事が…




友梨奈はその男のことを話していた時、こう言った。






“彼には他に愛する人がいる”と…





彼は被害に遭う前まで彼女と交際していた。



そんな男に何故友梨奈はそう思ったのか、それがどんなに考えても分からなかった。








______
____
___






「スープはそろそろ煮えてきましたよ」



『じゃあ、火を弱めて味見してもらっていいですか?』







友梨奈とは、先週ギクシャクしていた関係がほぐれ、普段通りに接している。(勿論アプローチは忘れずに)




一葵と交際していた経験があるのに、少し手を重ねるだけでまるで初めてのように顔を真っ赤にする彼女が愛しく思う。




しかし…






チュッ…




『――ッ!!///』







バッ!






夕食の準備でテーブルに料理を置く友梨奈の後ろにそっと近づく。



テーブルに食器を置いたのを確認して、髪を高く結い上げられ無防備に晒された彼女の項に口づけを落とすと、そこに手を当て俺から離れた。




まだ俺の片思いの段階。

キスしようと顔を近づけるなど行き過ぎる行為をすると、友梨奈は今のように即座に距離を取り自己防衛にかかる。






「(焦っても仕方ないな…)」





離れた距離から昴を睨む友梨奈を見ながら思った。





その後、準備を終えたテーブルにつき、いつも通りに二人の食事を始めるのであった。






〜終〜
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ