Bullet of the promise
□第六二話
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コナン君、もとい新一や彼の母有希子さんの許可のもと、工藤邸で寝泊まりするようになって2週間が経った。
夕食だけでなく朝食や休日は昼食も一緒に食べるたり、工藤邸でのんびりと過ごすなど以前よりともにいる時間が長くなったため、距離が少しずつ近くなった気がする。
そんなある日。
Prrrr…
リビングでまったりとお茶を飲んでいた時、私の携帯が鳴り出した。
『蘭…?はい、もしもし?』
≪あ、よかった!友梨奈さん、出てくれて!≫
息を整えながら話す蘭の声が電話越しに聞こえる。
『どうしたの?そんなに慌てて…』
≪お、お母さんが仕事先で具合が悪くなってこれから手術なんですけど、お父さん、携帯の電源切ってるみたいで…≫
『英理さんが?分かった、すぐに向かうからどの病院が教えてくれる?』
≪杯戸中央病院です。私とコナン君は今タクシーで向かってます≫
『…そう、分かった』(ピッ)
杯戸中央病院…
蘭との通話を切ったが、これから行く病院で起きたことを思い出す。
組織の仲間でCIAの諜報員である水無怜奈が入院して、楠田陸道が潜入していた病院…
そして…
(“あの人”と最後に会った場所…)
脳裏には殉職した元上司で想い人の背中が浮かんだ。
「電話、蘭さんからですか?」
近くで電話を聞いていた昴さんの声にハッと我に返る。
『あ、うん。蘭のお母さんがこれから手術みたいで…杯戸中央病院みたいだから、私もちょっとお見舞いに行ってくる』
「蘭さんたちもいるのでしたら、車出しましょうか?」
『大丈夫、蘭たちはタクシーで今向かっているみたいだから』
貴重品などをバッグに入れ、玄関へ行く。
『じゃあ、行ってきます』
「はい、気を付けて」
バタンッ…
友梨奈を見送った昴は閉められた玄関の扉を見つめながら、何かを思っていた。