Bullet of the promise
□第六三話
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「一体何なんだろう…大事な話って…友梨奈何か聞いてる?」
『……いえ、何も…』
ジョディさんの車の後部座席に座る私に聞いてくるが、生憎、内容は会うまで分からないみたいだ。
帝丹小学校の校門前で待っていると学校を終えたコナン君が車に乗ってきて発進させた。
「楠田陸道?ああ…水無怜奈の病院に潜入していた組織のスパイね」
確か正体がバレて逃げだしシュウと友梨奈に追い詰められた挙句、拳銃で頭を撃って自殺…
「だったわね?」
「うん」
「で、それが何か?」
「その事、絶対外部に漏らさないでってFBIの人たちに伝えておいて。組織の一人のバーボン、安室透が探りを入れてきてるからさ」
「もちろんよ!何?そんなこと伝えるために迎えに来させたの?」
『まあ、携帯だと盗聴されやすいからね…』
「うん、それにもう一つ言っておきたいことがあって…もしかしたら、あの安室って男…」
コナン君は後部座席にいる私から再び前を向いてもう一つの内容を言おうとしたら…
ピロロンッ、ピロロンッ…
ジョディさんの携帯が鳴り出し、車を路肩に停めて電話に出た。
「え?夏子が重体?杯戸公園前の階段から落ちて…どこの病院です?すぐに向かいますから!」
≪ああいや、貴女には現場の方に来てほしんです≫
「え?現場に?」
ジョディさんの口から出た言葉に表情を硬くする。
≪ええ、今その転落現場にいるんですが、公園内で見つかった彼女の携帯電話に昨夜の8時前に貴女との通話履歴があったので…≫
「そうよ、ちょうどその頃彼女に電話を…ちょっと待って!転落したのって事故じゃないの?!」
≪ええ。近くの公衆電話から通報してきた人の話では、誰かに突き落とされたって…≫
「と、兎に角すぐに向かうから!場所は杯戸公園前の階段ね」
数分後。
現場の杯戸公園前に着いたら、そこには目暮警部と高木刑事、そしてキャメルさんがいた。
「あ、ジョディさん…友梨奈さんまで…」
「キャメル!何で貴方がここにいるのよ?」
「昨夜彼女に電話した携帯、私のだったでしょ?ジョディさんの携帯電池切れでしたから…それで最初に警察から私のところに連絡があったんですよ」
「通話履歴が例の通報の一時間前でしたから」
「え?一時間前って…夏子が落ちたの今日じゃないの?」
「ああ、昨夜の9時過ぎだよ」
ジョディさんが驚いて聞くと、目暮警部が事情を話した。
所持品の中に財布も携帯もなく昼過ぎまで身元不明だったが、先生らしいということは分かっていたためその線を辿ると、被害者は澁谷夏子さんだと判明した。
その後、公園内に捨てられた渋谷さんの携帯が発見されジョディさんに来てもらった、と高木刑事が経緯を話した。
「それで夏子の容体は?」
「頭蓋骨陥没の大怪我でなんとか手術は終わったんですが、意識がまだ…」
「そう…」
「恐らく夏子さんは、仕事帰りに金目当ての犯人に襲われ階段から突き落とされたってところでしょうか」
「ええ、我々もその線で…」
「ねえ、どうして学校の先生らしいって分かったの?」
「ああ、彼女の側に落ちていたバッグの中に答案用紙が大量に入っていたから…
――ってコナン君?何でここに?」
「ちょ、ちょうど私と友梨奈と一緒にドライブしてたところで…」
コナン君は驚く高木刑事に気にせず、その答案用紙はまだ名前や答えが書いていない真っ白だったかと問うと…
「いや、もう答えが書き込んであって全部採点済みだったよ。100点満点の花丸がついてたやつもあったかな…」
『「では(じゃあ)澁谷さんは(その先生)ここで襲われたんじゃないと思います(思うよ)…あ…」』
珍しく重なった2人の声に自分たちも驚き顔を合わせる。
「だって解答済みの答案用紙を家に持って帰っちゃダメだって小林先生が言ってたよ」
『私も現在高校の英語教師をしている友人に聞いたことがあります。個人情報の流出の恐れがあるためだって…
自己責任で自宅で採点する先生もいるみたいですけど、すべて採点済みでしたのなら、その可能性はないと思います』
つまり、犯人は仕事帰りに襲われたように見せかけるために澁谷さんのバッグに机の上にあった物を色々詰め偽装する時に思わず答案用紙も入れてしまったのだろう。
「頭蓋骨陥没っということは、犯人に鈍器な物で殴られたのかもしれんな」
「ええ。それにここの階段から落とせばその傷が誤魔化せると思ったんでしょう」
「そういえば夏子、昨夜の電話でこれから生徒の親に会うって…」
その証言に目暮警部は高木刑事に澁谷さんの携帯電話の通話履歴やメールをもう一度洗い直し、昨夜彼女と会う約束をしていた人物を最重要人物だ、と指示した。