Bullet of the promise

□第六八話
3ページ/4ページ






鈴ちゃんからアドバイスを受けて、ポアロのバイトを終えた私は、DS250ちゃんに乗って買い物して帰宅。






今日は冷やし中華にしよう。


買ってきた食材たちを冷蔵庫に入れた時、インターホンが鳴った。



おや?今日は誰とも会う約束していないはずだが…




カメラを覗くといつもと違う服装の赤井さんの顔が映っていた。










「急に来て、すまない」




『別に大丈夫ですが…と、とりあえず中に』







とりあえず急いで上がってもらい、リビングへ通す。

ていうか、彼は自分の立場分かっているのだろうか。貴方は一応死んだことになっているのですよ。






『それで…何か遭ったのですか?』



「いや、本部に呼び出されて近くを通ったんだ」



『では、まだ夕飯は食べていないのですね。ちょうど今から作るところだったので、食べていきますか?』




「ああ。」








彼は頷いてソファに座った。








数分後。



できた冷やし中華をテーブルに置き、一緒に食事。



食後の紅茶とコーヒーを渡しながら彼に訊いた。






『それで、本当は何かあったのですか?』



「ん?」



『本部に呼び出されたのは分かりましたが、何か用があってここに来たのでは…?』







私の問いに赤井さんは苦笑して、コーヒーカップをテーブルに置いた。








「なに。恋人に会いに行きたいと思うのは別に可笑しな事ではないだろう?」










『え、恋人?私と赤井さん、付き合ってるんですか?』












ピシッ…









あれ?なんか急に寒くなってきたような…


エアコンが効きすぎているのだろう――…








「ホォー……ではお前は俺との関係を何だと思っていたのだ?」







か…。


……違った。悪寒の原因は私たちを涼めるために頑張っているエアコンではなく(疑ってごめんね)…





目の前の彼だった。


エアコンさんの苦労もあっさりと覆すようなこの寒気。どこから出しているのだろうか。

空気が一気に凍り付いたよ。






そして、普段ポーカーフェイスなのに、こういう時だけ笑うのは止めてください。笑っているのは口元だけですが。







「俺の記憶違いでなければ、俺は“二度も”お前に告白し、お前は一昨日告白し返してくれたはずだが?」







今“二度も”を強調しましたよね?







『だ、だって…付き合ってと言われていませんし…それとは別物だって聞いて…』




「誰にだ?」




『お、お昼に相談した高校の後輩に…』










応えながら彼の様子を見ていると、コーヒーカップを再び持って言った。








「言わずとも分かると思ってな」






ムリです。貴方本当にポーカーフェイスなので全然心読めません。






私の応えに赤井さんはふむ…、と顎に指をかけ考える。




1、2分くらいそれを待っていたら、彼は立ち上がり、向かいに座る私の横に来て床に膝をついた。










「ならば、よく聞け。友梨奈…

お前の事が好きだ。約束通り、左薬指に指輪を付ける前提で付き合ってほしい」







約束…?






キョトンッとする私に赤井さんは眉を顰める。






「忘れてないだろうな?沖矢昴の告白の時、俺が勝ったら俺からの指輪を付けてくれと…」





あ……





『そういえば、そうで……した…』






しまった。心の声が口から出てしまった。
コラ、帰って来なさい。もう遅いけど。







赤井さんはついていた膝を離し、私が座る椅子の背もたれとテーブルに手を付いて、覆いかぶさって来た。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ