Bullet of the promise
□第七二話
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………で、夕方。
バイトが終わってしまった。
それまでの記憶が全くなく終わってしまった。
そして、何故彼がいるのだ?
制服から着替え、従業員用の裏口から出ると、路地にはスバル。
運転席には勿論彼が乗っていた。
・・・どうしよう。
次に出て来た晴香に助けを求めようと振り向いたら…
・・・・・。
「………。」グッ!
頑張れと言わんばかりの凄くいい笑顔を向けられた。
今すぐその立てた親指を曲げてやりたい。
曲がってはいけない方向へ。
とりあえず、待たせるわけにはいかないので、晴香と適当に別れてスバルへ向かう。
『すみません。お待たせしてしまって…』
「いえ、私も今来たばかりなので」
こうサラッと言うのもモテる秘訣なのだろうか。
しかし、本気だったんだ。泊まること…
後部座席にはしっかり変装術の道具や着替えが入っているであろうバッグ。
なんでも、哀ちゃんを含めた少年探偵団は連休を使ってキャンプへ行っているらしい。
相変わらずキャンプが好きな子供達だな…。
哀ちゃんの警護も心配ないため、私の家に泊まることにしたそうだ。
工藤邸で何度も添い寝してもらっていたが、今回はやはり何かが違うのだろう。
晴香達に言われた事がぐるぐる、ぐるぐると頭の中を探検する。
緊張する私に気づいたのか、彼は優しく私の髪を撫でた。