Bullet of the promise

□第七二話
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いつものように夕食食べて、







いつものようにまったり……

































なんてできませんでした、はい!






今日は冷やしパスタを作ったが…


麺を茹でるためのお湯噴かせちゃうし、素手で触ってしまって火傷しちゃうし…



もう、ドジっ子か!って突っ込み入れたいくらいやってしまった。






なんとか夕食を終わらせ、お風呂の用意をする。









『えっと…昴さん、お風呂先にどうぞ』








最初は遠慮した彼だったが、大丈夫だと譲ると「では、お言葉に甘えて…」、と着替えを持ってバスルームへ。






シャワーの音が聞こえ始めて数分。





やはりどうしたらよいか分からず、スマホを手に取り晴香に電話した。








≪もしもーし!なに、もう済ませたの?イヤンッ♡≫




『アホなこと言わないで…まだだよ』




≪なーんだ…で?電話して来たってことは緊張してるのね?≫




『うん…』




≪昴さんは?≫





『今お風呂に入ってもらってる…どうしよう…私未経験だから分かんない…

何したらいいの?』





≪よし、今から私が言うもの用意して≫





『ないものあるかもしれないけど…』




≪大丈夫、大丈夫!まず自分の部屋行って≫







そう言われて自室へ向かう。








『部屋着いたよ』





≪よし、まずは勝負下着の用意!≫








あの、電話越しでもそんな大声出さないでください。


だが、勝負下着とはどういう物なのか分からず持っている下着を一つ一つ相談する私も人の事言えない。





とりあえず決まった。


でも、一番不安なのは…






『……晴香』




≪ん?≫




『……やっぱり、怖いよ…だって、私…』







私が言おうとしていることが分かっているのか、晴香は「大丈夫」と被せた。







≪彼は友梨奈を受け止めてくれるって私は思うよ≫




『………。』




≪あ、じゃあそろそろ劉さん帰って来るから切るね!


いい報告待ってるよ!≫







じゃ!、と電話を切られた。







受け止めて…










くれるだろうか……?











「友梨奈?」





『!!』ビクッ









リビングから彼の声が聞こえた。

お風呂あがったのだろう。








『――って、赤井さん…!?』







すっかり変装を取ってしまっている。







「盗聴器類はなかったから大丈夫だ。それより、風呂…」





『あ、はい!入ってきます!!』







彼の顔も見れず、バタバタと風呂場へ向かった。









いつもより丁寧に体を洗い、


一時ブクブクッ…とお湯につかって意を決して上がる。



そして、いつもより念入りにボディクリームを塗り込む。








脱衣所に上がり、体を拭く。



親友と相談しながら探し出した勝負下着……と言っても色とレースがちょっとだけ派手な下着。





それを手に取っていると、ふと鏡に映る自分の背中が視界に入った。





本当に“そういう事”になる雰囲気になるのかは分からない。







確かに彼は付き合ってからよくキスをしてくる。



だが、一度もそれ以上の事になるようなことなかった。

そもそも、私達は添い寝をした仲だ。



もしかしたら、今日もそういうつもりで来ているのかもしれない…









でももし、“そういう事”になったら…







自分の背中に刻まれた、この傷をどう思うだろうか…








彼に一度も見せたことのないこの背中を見て、彼はどんな反応するのだろう。





同情するだろうか…不愉快にさせてしまうだろうか…








嫌われるのだろうか…



















「…痛そう…」




「かわいそう…」




「やばいね、アレ…」














――「なんだよ…これ?」――


















ああ…ダメだ。



嫌な思い出が浮かび上がる。




このままではいけない、と一度考えるのを止め、化粧水を頬に勢いよく塗り込む。

ちょっと痛かった。
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