カスミソウの君へ
□店員と再会
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それは、何の前触れもなく、突然訪れました。
チリン、チリンッ♪
『ありがとうございました』
最後のお客様を見送って、そろそろ閉店の時間が迫って来たから後片付けを始めた。
ふと窓を見てみると、そこはいくつもの雫が撫で落ち、外から雨の音が酷く聞こえた。
表の看板を下げなきゃ…
と、店の扉を開けた時だった。
一人の男性がタバコを口にして店の前で佇んでいた。
その姿を見て、息を呑んだ。
だって、もう会えないと思っていたもの…
『……赤井さん…』
緊張のしながら私がそう呟くと、彼――赤井さんは漸くこちらを見て、
「友梨奈……」
と、目を大きくした。