カスミソウの君へ
□店員と赤ずきんちゃん
1ページ/3ページ
バスジャックから3日が経った今日。
今私は、気持ちがすっきりしています!
あの後、事情聴取から帰ったら、幼馴染にこってり怒られてしまった。
「携帯はいつも持ち歩いていろって言ったよな!」
ちゃんとお説教を受けてきたよ。心配させちゃったもの、仕方ないわ。
でも、彼から事情を聴いたバイトくんたちや帰国していたマスターから出勤禁止令が発令されて…とほほ…
自宅謹慎を言われたときはもうどうしようと思った…
じっとするなんて、嫌だからね!
その分、ある材料を使って、お菓子やケーキを作って博士や蘭ちゃんたちにおすそ分けできたけど。
そして、今日。
(私にとっては)漸く、お店に出ることができた。
常連さんたちには、精一杯お料理とコーヒーを振舞わせてもらったよ!
みんな笑顔に帰ってくれてよかった。
そろそろ帰宅する学生さんたちが見えてくる時間。
お茶をするために集まる女性たちが来ると大変だから、今のうちに体を休ませておこう。
『そうだ!バイト君たちが来るまで、私もお茶にしよう!』
今日は何にしようかしら…
と、思ったらチリンッと来客を知らせるベルが鳴る。
あぁ…お茶はお預けかな…。
『いらっしゃいませ……あら?』
扉の前にいたのはランドセルを背負った茶髪の少女。
上げて見えた顔に見覚えがあった。
『……赤ずきんちゃん?』
バスジャックの時、新君たちといた子だった。