カスミソウの君へ
□店員とパンダさん
1ページ/3ページ
『わー!すごい!!』
今日は日曜日。
お店も定休日にしていた私は、いつもは空欄だった予定を珍しく埋めて目の前に広がる世界に歓喜した。
可愛い動物たちが華やかなショーをみせる舞台。
「The Animal Show whis Paul & Annie」
世界中を回っているアニマルショーの日本上演だった。
お目当てはホワイトライオンのレオン!
よくネットにも載っていたのを見て、一度でも見たかった。
3年前、日本で上演があったけど、大人気だったからどの日程もチケットがとれなかった。レオンにも会えなかった…
それが、今回チケットが取れらのは、ほんの1週間前のこと。
一週間前・・・。
『これって…』
レジ越しに渡された封筒。
その中身は、2枚のアニマルショーのチケットだった。
「知り合いに2枚貰ったが、俺一人で行くのはな…」
チケットを渡したのは、バスジャックの数日後に再会した、赤井さんだった。
再会した日から赤井さんはよくお店に顔を出してくれている。
それは、ランチであったり、ティータイムだったり…時間はまちまちだけど、いつもお店が落ち着いていてお客さんが少ない時だった。
そんなある日。
いつものように頼んだ珈琲のお会計をした後、スッと渡された。
『わあ!このアニマルショー、ずっと観たかったの!』
「喜んでくれたのなら、よかった。実は、来週の土曜日が空いているんだ。一緒にどうだ?」
『でも…どなたかお誘いしたい方がいらっしゃるのでは?』
「……現に誘っているのだが」
『?』
「何か予定があるのか?」
『いいえ。この日はお休みだから特になにもないのですけど…』
「どうした?都合が悪いか?」
『え…えっと…』
「お前、好きだろ?ネコ科の動物…」
『好きです、けど…』
アニマルショーなら、彼女さんが喜ぶのでは…
もしかして、動物が嫌いな人なのか、たまたま予定が合わなかったのか…
だからと言って、いくら昔からの知人でも、私が行っていいの…?誤解されてしまうんじゃ…
でも、折角のレオンに会えるこのチャンスは逃したくないし…
ああ…でもでも…
「お前が行かないなら、このチケット…知人に2枚とも譲るが?」
と、チケットをひらひらさせられると…
『行きます!』
レオンの誘惑に負けてしまった。
仕方なかった、レオンに会いたくて…背に腹は代えられない。
彼女さんにはきっと赤井さんが私の事を「お友達」と伝えているよね。
「それは、よかった。待ち合わせ時間は、また連絡する」
そう言って一枚だけチケットを残してお店を去った。
待ち合わせの連絡がきた4日後の今日。
待ちに待ったアニマルショーを目にして胸が高鳴る。
お目当てだったレオンのショーを最後に私と赤井さんはサーカス会場を後にした。
もう、大満足!
やっぱりネコ科はかわいいよね!モフモフしたい!