未来へ

□第三話
2ページ/3ページ




あーっというまに放課後。


あむとあいはガーディアンのお茶会があるロイヤルガーデンの前に立っていた。

何故こうなったのかというと、遡ること数分前。





「お願い!一人で行きたくないの!」


『………。』





と、あむに頼まれたのである。




「近くまでくるとゴーカすぎてキンチョー…」


『…思ったのですが、私もついて行っていいのでしょうか…。招待状ないのに…』



「だ、大丈夫だよ…!私が持っているから!」



『………。』






いいのだろうか、とあいは思った。






「し…失礼しまっす…」



「やあ、日奈森あむさん。ようこそロイヤルガーデンへ」






扉を開けた先では、ガーディアンのメンバーが待ち構えていた







「(なんで、ガーディアンがみんなしゅごキャラ持ってるのー!?)」


「あら?あなたは…」


「あー!あいちんだー!」


『…こんにちは、結木さん。(そういえば、彼女もガーディアンだったな…)』





クラスメイトの顔を見て、思い出すあい。






「どったのー?あいちんがここに来るって思わなかったー」



『…付き添いで』



「そっか、日奈森さんとは親戚だったね」





そう、あいとあむは姉妹ではなく、遠い親戚。
苗字が同じで事情があって一緒に住んでいるため、姉妹と言われても特に修正することなくいたが…
ガーディアンにはすでに知られているようだ。

さて、付き添いで来たのはいいが、これから彼らはあむに大事な話をするだろう。






『…あむさん。やはり私は外で…――』



〈〈〈お茶の匂い!!〉〉〉



「え!?」






外で待っていようとあむに向けた言葉は遮られた。

……自分のしゅごキャラたちによって。








〈ようやくお茶の時間ですのね〉



〈やったー!お茶会だー!〉



〈この香り…マカティ―ですね〉



〈お腹すいたな〜〉



〈みんな!出てきたらダメだよ〜!〉



『………。』



〈さあ、早くお茶を出しなさいな〉



〈そうだよーお茶会しようよー〉



〈ちなみに、もう少し熱いお湯で注いだら香りが立ちますよ〉



「え、ええ…ありがとう」



〈スコーンもあるね〜〉



〈だからダメだってー!〉



『………ちょっと…』






ガーディアンやあむ、そしてそのしゅごキャラたちをおいて、お茶会をすすめようとするあいのしゅごキャラたち。

そんな中、あいの凍えるような冷たい声が…。








『あんたたち、何してるの…?出てきたらダメだと言ったでしょ?“お茶会”で反応しないでくれる?』


〈ご、ごめんなさい…〉


〈騒がしいですわ。静かにお茶もできないのですの?〉


〈それに、いつもはもうお茶の時間だもの〉


〈スコーン食べよう〜〉


〈紅茶が冷めますよ〉


『………。』





このマイペースたちめ。
呆れてこれ以上何も言えなくなるあいであった。












「えっと…気を取り直して。それじゃあ、まず自己紹介から…

ガーディアンのKチェア、辺里唯世…日奈森さん(姉)と同じで春から五年生。
それと、ぼくのしゅごキャラ“キセキ”」




「Qチェアの藤崎なでしこ。同じく春から五年生。この子は“てまり”よ」




「Aチェアの結木やや!もーすぐ四年生。かわいいもの大好っきー
こっちは“ぺぺ”ちゃん。ヨロシクちゅ♡」



「Jチェアの相馬空海、六年。サッカー部主将も兼任してる。
コイツは“ダイチ”」




「え…えっとぉ、あたしは…」



「だいじょうぶよ…みんなあなたのことはなんでも知ってるわ。日奈森あむさん」





慌てて自己紹介しようとするあむを遮った意外な言葉。
生徒の個人情報を管理するのがガーディアンの役割とは言っているが…




『(ぎゃくにプライバシーの侵害…)』

「ぎゃくにプライバシー侵害じゃんよ!」




そう突っ込む日奈森ズ。
もうめんどくさいから姉妹でいいよね?そうしよう。



「そしてあなたのしゅごキャラ“ラン”、“ミキ”」


「それで…あなたは…」





あいの方を見て紹介を促す。




『日奈森あいです。私のしゅごキャラ、リズ、コール、ベレー、チェーニャ、ローザ…』


〈はじめまして!〉


〈こんにちは…〉


〈いい茶葉ですね〉


〈スコーンおいしい〜〉


〈ふむ…悪くないわ〉



『………すみません。』


「き、気にしないで;」




紹介されているにも関わらずお茶会に夢中のしゅごキャラたち(コールとリズを除く)。
マイペースなものたちめ。



「“しゅごキャラ”っていったいなに…?教えて…!」



「これを読んでみて」





と、唯世は一つの絵本をあむに手渡した。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ