未来へ

□第五話
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「王子って呼ぶなぁぁぁぁぁぁーーー!!」






『「えぇーーー!?」』





突然キャラチェンジした唯世はテーブルごとすべての物をひっくり返してしまった。





「なっ…なっ…」


「だから王子って呼んじゃダメていったのに――」



「こうなると唯世手つけらんないよーわくわく」





驚くあむに慣れた様子のガーディアンメンバー。




〈まったく、騒がしいですわ〉



『これが…ちゃぶ台返し…』



〈ちゃぶ台じゃなく、ティーテーブルだけどね〜〉



〈じゃあ、洋風ちゃぶ台返し?〉



〈長いですね。〉



〈あわわ…大変だ…っ〉





違う点で驚くあいたち。
それぞれ反応を見せていた。





「きけ!庶民よ!!
ぼくは王子などというちっぽけなものじゃない!王だ!!」



〈おぉ…〉


〈王とは随分言い切りましたわね〉


「王の王たるぼくこそがエンブリオを手にするのにふさわしい!」



「ま…まさか…唯世くんの夢って…」



「もちろん!世界征服!!」





(((悪役だーーッ!!)))





守護神(ガーディアン)のKチェアがそんな悪役な夢を持っていいのだろうか。
いや、ダメだろう。







「世界の王にぼくはなーる!!」






それも別の作品のセリフだろう。(女性服と同じ名前のもの)
ダメだろ、取っては。







「いや〜〜ひさびさにでちゃったな王さま」



「だいじょうぶよ、あむちゃん。すぐもどるから」



「お…お…王子が…
はっ…まさかみんな、唯世君の野望をかなえるために…?」



「オフコース!一緒にエンブリオさがしてあげてるわっけー」


「なっなんで!?」








「「「おもしろいから」」」






「んなーーー!?」


『………;』





((ガーディアン〜〜ありえなすぎーー!!))








とんでもない理由に日奈森姉妹はその言葉しか出てこなかった。










数分後。


「おーい唯世ってばー」


「いーかげんこっち来いってー」



「………。」








キャラチェンジが落ち着いた頃、我に返った唯世は隅っこで落ち込んでいた。






「ぼ…ぼく…キャラチェンジするとあんなになっちゃって…あきれたよね、日奈森さんたち…」



「えっ?そっそんなことないよ、王じ…じゃない唯世くんっ
ね、あい?」



『え…あ、そう、ですね…』


〈いいじゃない!王様キャラ!〉


〈ギャップがあって楽しかった〜〉


〈フダンの唯世さんから想像つかないものが見れました〉



「うぅ…」



『ちょっと…アンタたち黙ってて…ッ』






フォローするつもりでいたのが自身のしゅごキャラによりとどめを刺してしまった。








「……ぼく…もとの性格はKチェアとかあんまりむいてないんだ…」



「そうそう、ほんとうは唯世って超〜〜シャイっ子で―」


「大勢のまえで話すのもニガテなんですって」



「え…」



「――そうなんだ、だから、強くねがったんだ。もっと強く…違う自分になりたいって…そうしたらしゅごたまが生まれて…」



「(王子も…?)」



『………。』


〈フン…とうぜんだ。ボクは唯世の“なりたい自分”がカタチになったもの。それがしゅごキャラだからな〉



〈あたしたちも!〉


〈あいちゃんの“なりたい自分”〉


〈ですね。〉

〈だね〜〉


〈とうぜんですわ。〉





自分のしゅごキャラたちの言葉にクスリと小さく笑うあい。




「うらっ!いつまでもヘコんでんなよ!気合入れろへなちょこキング!」


「わ!」


「そーそーきょうも超ーおもしろかったし♡」






勇気づける彼らを見るあいたち。
いままで遠い存在だと思っていたものが、この時、変わり始めていた。





「ねえ、あい…」


『?』


「あたしだけじゃないんだね。“なりたい自分”があって、ヘコんだり背伸びしたりするのは…」


『……そうですね。』



「…――あのさ、あたし…」





一歩、あむは彼らに進みこう言った。






「やってみてもいいよ、ジョーカー」







この瞬間、物語がまた一つ、進み始めた。
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