ヒロインの(非公式)妹はモブ兼、隠れサポーターを目指します

□非公式妹、決意する
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「お見事でした、プライド第一王女殿下。貴方様の立ち振る舞いには皆が心を奪われました」




漸く一区切りついた。疲れた。


無事、御披露目を終えたが、これで帰れるというわけではない。

主催側であるからこそ、何人もの来客の相手をしなくてはならない。
まあ…主にお姉様が対応して時々私達に話題をふるくらいだが…

正直、私はその辺の壁になってこの愛らしい3人を眺めていたいのに…これでも一応、第三王女。さすがにお披露目会である今日にドロンするわけにはいかないよね。


挨拶もそこそこにひと段落ついた時、お父様の補佐、ジルベール宰相が声をかけてきた。




「ジルベール宰相。この度は誕生祭の準備などご苦労でした」


「いえいえ」





不老の特殊能力者と言っていたっけ…なんか引っ掛かるな…何だろう?

この誕生祭も彼が準備などを仕切っていたようで、お姉様はその感謝と労りを伝えた。




「それよりも王族が全員こうして同じ場所に並ばれたこの日に感謝しております」





シルヴィアの記憶の中からこの人との面識を引き出す。にこやかに返す様子は飄々として、本当に隙がないこの人とは、お母様とティアラと一緒にいた時、偶にお父様と一緒に報告に来ていた時に会っている。
ただ…シルヴィアは、この人が苦手のようだ。

さっきも彼が現れた途端、無意識に一歩後ろに下がってしまっていた。





「ティアラ様、貴女様も初めてとは思えない素晴らしい佇まいでした。……もちろん、シルヴィア様も」




おお…あからさまに「おまけ」を取って付けた言葉だな…事実だからいいんだけどさ。
ちらりと私に視線を送るジルベール宰相にシルヴィアの身体がわずかに反応した。

なるほど…この人が私自身をあまり好いていないのだ。だから、シルヴィアもそれを感じて苦手に思っている。
え、シルヴィアさん。貴方なにかしたの?大人のこの人がここまで少女に敵視するなんて…
記憶を遡るにも全く心当たりないのだ。





「惜しいですね。ティアラ様にももし“予知能力”さえあればきっとプライド様同等の女王としての資質が―…」


「失礼ながら、惜しいとはどのような意味でしょうかジルベール宰相殿」





ジルベール宰相の言葉を遮ったのは、ステイルだった。大人相手に堂々と睨みを利かせていた。
ジルベール宰相とステイル…なんかほっとするツーショットだな…
雰囲気は穏やかと縁遠いものだが。




「……ああ、これはとんだご無礼を。それほどまでにティアラ様が優秀な方だと言いたかったのですよ」




ジルベール宰相がにっこりと笑みを返しながら、それにしても、と付け足す。



「ステイル様も見違えられましたね。王族らしい面持ちになられました。
ぜひ今度ゆっくりお話の機会をいただきたいものです。貴方様の故郷や前のご家族、周囲の特殊能力者の話など…」


「ありがとうございます、ジルベール宰相。素晴らしきプライド第一王女の支えあってこそ、ここまで来れました。
これからはティアラとシルヴィアと共に姉君のため尽力していきたいと思います」




なので、とステイルもにっこり笑みを返して…





「改めてこれからは“第一王子”としてよろしくお願いします。ジルベール“宰相”殿?」




黒い…黒いぞ…
何か聞こえないはずの「今は自分の方が立場上は上にいるんだ、舐めるなよ?」と言葉が聞こえる

この歳でもう腹黒性格が覚醒しているの?恐ろしき、腹黒担当攻略対象(長い)。


ジルベール宰相も「ええ、勿論です。ステイル“第一王子殿下”」とさっきよりも幾段か低い声で返した気がする。笑顔なのに…笑顔なのに、空気が黒い。



何も分からず首を捻るティアラをさりげなく…そっと…二、三歩彼らと距離を取らせた。
真っ白で純粋なこの子には染まって欲しくない。


すると、ふわっと背後からバラの香りがした。
ちらりと視線を上げると、ステイルたちを見つめたまま私達を抱きしめるプライドの姿があった。
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