ヒロインの(非公式)妹はモブ兼、隠れサポーターを目指します

□非公式妹、出陣する
1ページ/3ページ




お姉様がチート能力を持っていると分かって数か月後。
私は、以前より準備の力を入れていった。

すぐにお父様とお母様に剣術と護身格闘技の稽古を取り付けてもらい、いざというときのための道具もそろえている。

勿論、姉とティアラ同様、王女なのだから不要だと言われたが…





『お兄様や騎士たちが入ることのできない、女性のみとなった場合、お姉様を護れる存在が必要となります』



と、数々の「万が一」を述べ、漸く折れたお母様が許可を出し、お父様がそれぞれの師をつけてくれた。
頑張った。前世の仕事のプレゼンより力説だった。

もちろん、このことは内密だ。

私の存在を知られたら、私が近くにいるか否かでお姉様たちへの危険度が変わるのを避けるため。

それから、ティアラが「身体を鍛えようかしら…」と呟いていたのを必死に阻止したのが同日の食事の時だった。
さすがにバレたら「説得力ない」と再びやる気を出すので、ティアラの前では特に内緒だ。

ティアラはそのままでいい。格闘技などにハマってしまったら大変だ。





「姫様、届きました」


『ありがとう、リリア』





リリアが運んできた2つの箱を早速開けてみる。
一つは戦闘服、もう一つは…




「いかがですか?」


『……試してみないことにはなんとも…』



“これら”の確認は後に稽古場でするとして…
戦闘服の方は見た目もサイズも、機能性もばっちり!流石、王族が贔屓にする仕立て屋だ。




剣術などの稽古について知っているのは、女王のお母様と王配のお父様、そして、私の侍女のリリアのみ。

彼女は唯一、私の“準備”を手伝ってくれている人だ。





遡ること、3年前。決意したあの日の翌日。
私一人では行動に限りがあると気づいた。
前世の記憶があることは、絶対に話せない。しかし、行動の意図を知られれば、プライドたちだけでなく、この国に危険が及ぶ。さて…

この世界に、信用できる人はいるのでしょうか…



そう考えていたら、どうやら口に出していたようで…紅茶を淹れていたリリアが泣きそうな顔をして私の前に跪いた。





「姫様。どんなにこの国の者がこの世界の者が皆、敵になろうと、私は姫様の味方です!」




と、両手で私の手を握った。
普段、クールな彼女がこんな泣きそうな顔をするのは珍しい。
だが、当然だ。6歳になったばかりの少女がいきなり「人を信じることができない」みたいな言葉を呟けば、誰だって驚く。

しかし、リリアはシルヴィアにとって家族以外で唯一、信用できる人物だった。それはシルヴィアの記憶からも感じたが、決定的は、シルヴィアの能力。



シルヴィアは、人を良く見ているらしい。
城の中で自分の相手をする人でも、用心深く見る。

そして、「信用できる人」の中でも、信用度があるらしい。


リリアはその信頼度が非常に高かった。



判定は、シルヴィアの目に映る、相手の周りにある色だ。オーラ…と言っていいのだろう。

他の人には見えていないその色こそが、シルヴィアにとって信用できるか否かの基準となっていた。



もともと人の周りには、それぞれの「色」がある。悪意ある嘘や隠し事をしたら、その「色」が濁って見えるのだ。



最初は彼女の特殊能力なのかと思っていた。しかし、調べたところ、そんな能力は存在しないらしい。
これは、シルヴィア自身が身を護るために身に付けた能力なのだ。


悲しいことだが、使わない手はない。




3年間、この目についても研究し、ある程度の理解ができた時、その一部をリリアに話した。
この話を聞いて、リリアの反応や今後の行動を見た方がいい。
シルヴィアとしての思考がそう言っていた。やはり、彼女は用心深い性格だ。



そして、リリアは決して“私”を裏切るような行動をしなかった。
リリアが纏う「色」が変わらずにいたことが何よりの証拠となる。

これをきっかけに、私はリリアに己の将来について話をした。もちろん前世に関することは除いて…



彼女は最初、驚きはしたが、その後優しく微笑み…



「それが姫様のお望みならば…私にも是非お手伝いさせてください」



と、言ってくれた。誰かに打ち明けるのって、いいね…
今では、リリアとは「侍女と主」以上の関係。私の大事な存在だ。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ