★×芥川慈郎★
□ご褒美
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「おいジロー、お前のクラス、明後日数学の月例テストらしいな」
「…………あ」
□■ご褒美□■
月例テストとは。
氷帝学園では、数学、英語または外国語、理科(化学・物理・生物など、その時々の単元あるいは選択したもの)で、月1回テストを行う。
これはクラス毎に授業の進度が違ったり、教師によって教え方などが変わってくるため、クラスによって内容や実施日に差があったりする。
「いいかジロー、追試は許さないからな」
「え〜?無理だよ〜。だって判んないC〜」
ジローはもう諦めているらしい。
業を煮やした跡部は、机を叩いた。
「…いいか!?もし追試だったら……」
そこで言葉を区切った。
途端にジローは不安そうな顔をする。
「別れるからな」
沈黙。
・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・・。
「っえ───っ!?」
先に沈黙を破ったのは、ジローだった。
机に手をついて、跡部の方に身を乗り出して、半泣きになっていた。
「なんで!?ねぇなんで!?嘘でしょ!?」
「…本気だ。別れたくないなら死ぬ気で勉強しろ」
「そんなあ〜っ」
ジローは必死で抗議したものの、結局、追試したら別れるということになってしまった。
そうなると、ジローは本気で勉強した。
授業中も起きていて、休み時間には教師や友人に教えてもらい、朝起きてから夜寝るまで教科書を離さないくらいだった。
普段のジローを知る者は、皆天変地異を予感し、その対策に駆けずり回ったほどだ。
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