★×跡部景吾★

□恋愛への脱出
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(結局…俺の気持ちは何なんだろうな…)

いつも考えていた。
答えが出たことはない。
いつも『身体だけの関係』という答えに逃げる。

素直になれない。

身体だけなら、行為の後、何事もなかったかのように振る舞う忍足に、縋りたくなる自分は何だ?
きっと何かが、間違っていたのだろう。

……初めから。



昼休み。人気のない非常階段の近く。

「…忍足先輩のこと、ずっと、好きでした!言っても無駄だとは思ってますけど…どうしても言っておきたかったんです!」

忍足が後輩と思われる女子に告白されていた。

「………あー…」

早く断れよ!俺様とあんなことしてるくせに、女と付き合うなんて許せねぇ。

「ご、ごめんなさい。あの…私、もう行きます。いきなり呼び出してすみませんでした!」

そうだ。早く帰れ。お前なんかが忍足に気に入られるわけねぇだろ。

「あ、いや、付き合えんけど気持ちは嬉しいで。どーもありがとな」

「…はい!」

……今、何を…言った?
『嬉しい』とか言ってなかったか?あんな女に告られて嬉しいのかよ?
俺の方が顔も綺麗だし、忍足のことよく知ってるし………何で女と張り合ってるんだ?俺は…。
俺は…俺は何がしたいんだ…?


 
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