きみ

□はじめてのちゅう。
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キスをした。
初めてだった。
その行為で総てを判りあえた気がして、カヲル君の感覚と僕のそれとが共有された気がして、とても心地よかった。

なんだかこれから会うのが恥ずかしくなってしまう。
実際キスされたときも、頭がぐらぐらして、発熱する勢いだった。

まさか別れ際に、挨拶みたくあんな風にされるとは思っていなかったし。

どうしよう、今もなお鼓動が激しい。
心臓が熱く燃えている。
君への想いで、ただ、それだけで。

嬉しい、嬉しい、凄く。

「カヲル君・・・」

未だ感覚の残る唇に触れてみた。かさかさしていて、温かみが消えてしまいそうだ。

「カヲル、君」

君がすき。
すき。
君だけが。
他の誰でもない。
溢れんばかりの感情が体温をあげたけれど、唇だけは依然冷えたまま。

「もう一度・・・」

触れてほしい。
一度と言わず何度でも。

貪ってほしい。
唾液が絡み合ってそこから溶けていけばいいのに。

傷つけてほしい。
跡を残して、君だけのものになるから。

見つめてほしい。
紅い瞳で痛いくらいに、そう、穴を開けてよ。

「ん・・・」


口の中に中指を入れてみた。少し伸びた爪が舌先に当たる。

口内は唇とは違い生ぬるい。内と外との温度差になんだか無性に興奮する。
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