きみ

□あめのひ
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冷たい雨が降り注ぐ。いつも無造作な髪が水で少し真っ直ぐになっている。寒いなぁもう。シンジ君、遅いし。

家でだらだらして、雑誌をてきとーに読み流していたのが丁度1時間前。何だか無性にシンジ君に逢いたくなったので、彼の家に行こうと思ったのも同じ頃。

思い立ったら即行動、ということでシンジ君の家の前まで行ったのだが、どうやら中には誰も居ないようだった。そうしているうちに雨が降り始めて、現在に至る。

これがよく耳にする、バケツをひっくり返したような雨、か。確かにその通りかも。ただの水なのに痛いもの、驚きだよ。

早く帰ってこないかなぁ。逢いたい。どうしようもなく。

僕は最初は君に興味なんてなかったはずなのにね。ただ、任務だったから傍に居て、行動を見ていただけ。だったのになぁ。なんでか知らないけど、いつの間にかもっと君のことを判りたいと思うようになって。君に好かれたい、って考えてる。

近づきたいし触れたいし、視界を僕でいっぱいにして欲しい。

それは単純な僕の中の欲。初めての望み。そして、今だって、その欲に従って行動してる。


あ、やっと来た。僕と違って傘を差している君。髪の色に酷似した紺色のそれ。

「・・・渚?」
「おっそいなぁ。風邪ひくかと思っちゃった」

あは、明らかに嫌そうな顔。眉毛がぴくぴくしている。ちょっと面白い。

「なんでこんなとこに居る訳?」
「こんなとこってこともないでしょ、自分ちなのにさぁ」
「そういう意味じゃなく!」
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