きみ

□どうせ夢だけどね
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僕は悪くない。
あいつが悪いんだ。渚が。
言うから、変なことを。まるで人間は哺乳類だということくらいあっけらかんと。

僕にとってはそれは衝撃の事実でしかなかった。強いていえば、人間が卵を産んでしまうくらいに。

だって今まで、素振りさえなかった。嫌がらせまがいのことをされたりはしたけれど。

大体にして出逢いから変だった。瓦礫の中でピアノ弾いて、道に迷って、猫、殺し、て。

渚。

あいつ。
あいつが。
あいつは。
あいつの。

あいつの考え、理解不能!


「変なこと言うね、君。こんなの当たり前のことだよ」
「な、ぎさ、」
「あれ?もしかして気付いてない?今の全部口に出してたよ」

「何で居るんだよ」

するとあからさまに不細工な顔をしてベッドへと腰掛ける。

「ここ、僕の部屋なんだけど」
「あ・・・」

忘れてた。
否、そうじゃない。
設定を脳から追い出す程に混乱していたに他ならない。

あは、と不快な笑みを見せてくる銀髪に苛々する。ただでさえ心地はよろしくないのに、更に。

「シンジ君」
「・・・」

「おーい」
「うるさい」

「シンジ君、隣来てよ」
「行かないよ。行く訳ない」

頬を膨らませむっとされても、こちらの考えは変わらない。

今は君の傍に居たくない。いや、別に居たいときもそうないんだけど。
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