王子
□罠
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口付けて、甘い誘惑。
―もう逃れられない―
元は遊びのつもりでしかなかった。近藤ゴリラと仲の良いあの子、沖田くん。
飄々としてはいるが、あの端整な顔立ちだ。女にも、そして男にもモテるようで。
実際同じ委員会の土方と、付き合っていると聞いた。
初めはきっとそれで興味を持ったんだろう。いつもクールなあの生徒の憎しみで歪む表情見たさに。
けれど今は違う。
長い睫毛、紅い瞳、薄桃色の唇。
その全てを、俺のモノにしたい。
「沖田ァ、オメー赤点だぞ」
「へぇ、そうですかィ」
「『そうですかィ』じゃねぇからァァァァ!このまんまじゃ留年だぞ留年ん」
「えー。マジでか
その辺は何とか融通効かせてくだせぇよ。やっぱきちんと卒業してぇし」
かかった、と思った。
「じゃあ補習な」