ポケモン

□君となら頑張れる
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「フ、フシギダネ!敵だよ!!」

目の前のイシツブテに慌ててボールを投げるナナシ。
ボールから出てきたフシギダネは、ふしふしと鳴きながら戦闘態勢をとる。
ナナシはつい先日トレーナーデビューをしたばかりの新米トレーナーだ、最初に貰える三匹の中からフシギダネを選んだ彼女は、こうして旅をしていた。
だがトレーナーといっても初心者、若葉マークの付くナナシは野生のポケモンと遭遇する度に慌てていた。

「え、えーと、つるのむち!!」

ふしっ!と一際大きく鳴いたフシギダネは、するすると長いつるを伸ばし、イシツブテを叩いた。
効果は抜群でイシツブテは目を回し、その隙にナナシはフシギダネを抱えていそいそと逃げた。


「はぁ...、フシギダネ、やっぱり私ちょっと落ち着きがないよね」

フシギダネはふしっ!と鳴いて頷く。
この子は中々素直だ、ナナシは自分が聞いたにも関わらず落ち込んだ。
いちいち野生のポケモンに出会う度に怯えて慌てていてはこの先が不安になる。
トレーナーは戦うのも仕事みたいなものだから最低限それぐらいは慣れれば。

「フシギダネ、ごめんね私が君のトレーナーで」

こんな自分のパートナーになったフシギダネには申し訳が立たない。
ナナシがフシギダネを選ばなければフシギダネはもっと良いトレーナーと共に行っていたのだろうか。
でも、一目惚れだったのだ。
こんな愛らしい姿を見せられて選ばないはずがないのだ。
フシギダネに謝ると、フシギダネは首を横に振る、フシギダネには受け入れてもらっている気がして、それが少し嬉しかった。

「フシギダネ、私も君のパートナーに相応しくなるように頑張るからね」

このままではいけない、フシギダネのためにも。
そう気合いを入れれば、フシギダネは蔓を伸ばしナナシの手を取った。
そして、握手をするようにゆらゆらと上下に振る。

「フシギダネも一緒に手伝ってくれるの?」

そう聞くと、フシギダネはだねっ!と大きく鳴いて力強く頷いた。
そうだ、ナナシは一人ではないのだ。
共に居てくれるフシギダネがいるのだから。
ナナシはフシギダネを抱きしめて、頑張るぞと決意した。

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