フリーゲーム

□素直な君
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「どうもー」

「あ!ナナシさんいらっしゃーい!ルーナになんか用ー?」

「やっほー、リヒト。今日はルーナじゃなくてノーチェなんだ。ノーチェいる?」

「ノーチェは今仕事でいないよー。...ではノーチェに代わり私が。エスコートさせていただきましょう」

「ふふっ、ありがとうリヒト」

リヒトがかっこつけて差し出した手に、ナナシは手を重ねる。
するとリヒトは満足そうに笑い、ナナシを葬儀屋の応接間へと通した。
ソファーに座らされ、リヒトが入れてくれた紅茶を飲む。
リヒトの味付けは甘いが、ナナシは甘い紅茶も好きなので美味しく飲めた。

「それでナナシさん今日はどうかしたの?」

「あれ、もう紳士モードは終わり?」

「あはは、別に今はいいかなって。ノッてくれるのナナシさんぐらいだしやりがいはあるけどね」

「あぁ...ノーチェにはいつも毒舌吐かれてるもんね」

「もう!ノーチェやルーナもナナシさんみたいに僕に合わしてくれたっていいのにね!僕もぷんぷんだよ!」

口で擬音語を発するリヒトはもう、先程ナナシをエスコートした時の姿は見る影も無かった。
子供っぽいだのと言われることもあるそうだが、リヒトの性格は素直でナナシはとても好いていた。
今所属しているMAG団も主にレッド辺りが賑やかで毎日楽しいのだが、葬儀屋もリヒトがいるからすごく楽しそうだ。
元々フリー時代にルーナとは知り合いだったので、MAG団に入ってからもよく葬儀屋には遊びにきていた。

「あ、そうそう。用なんだけど、これ」

本来の用件を思いだし、ナナシは懐を探った。
そして、それを取りだしリヒトに手渡す。
それを受け取ったリヒトは頭に疑問符を浮かべて首を傾げた。

「?仮面がどうかした?」

「それ、昨日ノーチェと会ったときに落としていっちゃったんだ」

「そっかー。ノーチェに伝えておくね!」

「よろしくね、リヒト」

「任せてよ!僕もそれぐらいはちゃんとできるからね〜!」

弾ける笑顔でビシッと敬礼したリヒトは、ふん、と得意気に胸を張った。
ナナシは何度も頷いて、そして礼の言葉を述べる。

「ありがとうリヒト」

「ナナシさんの頼みだからね!...でも、昨日ノーチェはナナシさんに会ったのかー」

「会ったけど、どうかした?」

「うーん、ちょっとノーチェに嫉妬しちゃったかも。僕だってナナシさんともっともーっと話したいのに〜!」

体全体を使って感情を表すリヒト。
対するナナシはリヒトの言葉に目を丸くした。

「...話ぐらい、いつでもするよ?」

「本当に!?じゃ、じゃあ明日も話したいかな〜なんて......。あ!ナナシさんが忙しくなければだけど!」

「大丈夫だよ。じゃあ、明日も葬儀屋に来るね」

「え、え、......わぁ〜...すっごく嬉しい.........。やっぱり笑う門にはハッピーカムカムなんだね...!」

「リヒト大袈裟だよ〜」

「大袈裟じゃないよ!僕にとってはそれほどのことなんだからね!約束だよナナシさん!」

「うん!」

その日リヒトはこの出来事をノーチェとルーナに嬉しそうに話し二人には呆れられていたが、次の日には満面の笑みでナナシとティーパーティーを楽しむリヒトが目撃されたという。

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